株式会社shoichi

【独自アンケ】円高がどのように、アパレル業界に影響を与えるか。在庫処分会社 社長観点から説明 | 株式会社Shoichi

【独自アンケ】円高がどのように、アパレル業界に影響を与えるか。在庫処分会社 社長観点から説明

2025年3月10日 10:11 AM

(株)shoichiの、取引先に独自アンケートを行いました

過去、円高がどのように、自社に影響を与えたか?

1位 仕入れ過ぎ

●過去に円高になったタイミングでちょうど追加注文の時期が重なり、割安だと思って、いつもの20%増しで発注しました。しかし販売数が追いつかず、大量の在庫を抱えてしまいました。

●サプライヤーから円高特価を勧められ、つい必要以上に発注してしまいました。余剰分の在庫を消化するのに非常に苦労しました。

●“円高→安く買えるうちに仕入れたい” という焦りが大きかったですね。結果的に過剰な在庫を抱えてしまい、セールをせざるを得なくなりました。

2位 売価

●円高のおかげで仕入れコストが下がり、他社が値段を下げ始めたため、うちも追従して値下げしました。でも、円安に戻った時は売価を上げづらくなりましたね。

●為替変動に合わせて価格戦略を都度変更するのは難しいと痛感しました。結果として、為替差益をなかなか反映できず利益を取りこぼす形に。

●ブランドのイメージがあるので、大幅な値下げはできませんでしたが、他社が値下げしていると価格面での比較が不利になりました。

3位 輸出

●海外輸出売上が、全体の20%ぐらいあります。円高時は海外から見ると割高感があり、注文数が減少しました。

●円高になると輸出の採算が悪化し、海外の取引先から価格引き下げ交渉が増えました。利益を確保するのが難しかったです。

●取引先が他国のサプライヤーも検討し始め、『もう少し安くならないか』という要望も。商談しにくい状況になります。

ソース:(株)shoichi 取引企業 約100社

海外ブランドや生地を仕入れやすくなる

円高になると、1ドル・1ユーロなどの外貨に対して円の価値が高まるため、海外の商品や素材w円で購入する際のコストが下がります。アパレル業界においても、海外からの輸入品が割安に感じられるため、大きなメリットが生じます。

生地や副資材の調達コスト低減

海外の生地や副資材(ファスナー、ボタン、裏地など)を多く使うアパレルメーカーにとっても、円高は魅力的です。高品質なイタリア製やフランス製、または機能性の高い台湾製や中国製の生地などをより安く仕入れることができます。国内製造においても、原材料費が抑えられれば生産コストを下げられる可能性があり、結果的に利益率アップに繋げることができるでしょう。

低価格商品の参入増加

海外から安い単価で大量の商品を仕入れられるようになると、新規参入や、これまで輸入量を抑えていた企業が一気に取り扱いを増やすケースが目立ちます。すると、国内の小売市場に同じテイストや似たようなカテゴリーの商品が数多く並ぶようになり、結果として価格競争が激しくなります。

「どうせ似たデザインなら少しでも安いほうがいい」と考える消費者は多いものの、同時に「お気に入りブランドには多少高くても投資したい」という層も存在します。しかし、多くの顧客が感じる“納得価格”はそこまで大きく変動しないため、まわりが値下げ攻勢に出ると、その水準に合わせなければ売れ残ってしまうリスクがあります。

円高で輸入コストが下がる一方、過剰仕入れを起こしやすい構造

円高で輸入が割安に感じられると、多くのアパレル会社が「こんなに安く仕入れられるなら、今のうちにたくさん買っておこう」という心理に陥ることがあります。さらに、海外メーカー側も円高のタイミングに合わせて日本企業に対し、大口発注での値引き交渉を持ちかけるなど、取引条件が魅力的になるケースも出てきます。

一度の仕入れ量が増える

「どうせならまとまった数量を買っておいたほうが、さらに1枚あたりの単価が下がる」という構造は、商売の定石です。しかしアパレルの場合、トレンドや季節要因によって売れ筋は変化します。大量に仕入れたものの、実際の販売が伸び悩めば、そのまま在庫が積みあがるリスクを抱え込むことになります。

また、消費者の購買意欲や経済状況は刻一刻と変化するため、「今売れているから、今後も同じように売れるだろう」という予測が外れた場合、過剰在庫を抱えてしまう可能性があります。特に、消費者が高い価格帯を好むかどうかは大きく変わらないので、仕入れの数に比例して高額商品ばかり仕入れてしまうと、シーズン終盤には値下げしないと在庫が動かない…という事態に陥りがちです。

倉庫コストやキャッシュフローへの負担

過剰仕入れを行うと、倉庫の保管費用やキャッシュフローの圧迫が問題となってきます。新シーズン用の在庫を確保しておきたいのに、前シーズンの在庫が大量に残っていて資金が回らない、倉庫に入れるスペースが足りない…といった悪循環に陥ると、せっかくの円高メリットが帳消しになるどころか、企業経営を危うくする可能性すらあります。

値下げをしてすぐに売り切るのか、在庫処分業者にまとめて処分を依頼するのか、あるいはアウトレット展開を活用するのかなど、何らかの対策を早めに検討しなければ、大量の不良在庫が企業のバランスシートを圧迫します。

円高・円安それぞれで在庫が積みやすい理由

在庫が積みあがるのは円高時だけではありません。実は、円安時にも在庫リスクは存在します。なぜなら、どちらの場合でも“予想外”の変化が起きたときに在庫リスクが顕在化するからです。

円高時の過剰在庫リスク

先述のとおり、円高時には仕入れが割安になるため、ついつい大量仕入れをしてしまいがちです。海外メーカーも「今のうちにまとめて買ってくれれば、さらに安くするよ」という提案をしやすいため、企業としても逃せないチャンスと捉えやすいでしょう。結果として、需要を上回る仕入れ量になり、不良在庫が発生するリスクが高まります。

在庫処分業者から見た「円高時に起こりやすい在庫の発生パターン」

私たち在庫処分業者(在庫買取業者)は、各アパレル企業や小売店から、シーズンオフ商品や売れ残り在庫などを一括で買い取り、別の販路で販売したり、アウトレットやリユースショップへの流通を行ったりして処分しています。そうした業界の立場からすると、円高時には以下のような在庫が持ち込まれやすい傾向を感じます。

大量仕入れした海外ブランド品が売れ残る

一番多いのは、やはり**「円高メリットを活かして大量に仕入れた高級ブランド品が、思った以上に売れなかった」**というパターンです。特に高級ラインの商品は、1点あたりの単価がもともと高いため、セールに踏み切るタイミングを見誤ると、売り時を逃してしまいます。季節もののアウターやドレスなどは、シーズンを跨ぐと一気に需要が落ちてしまうため、処分に急ぐケースが多く見られます。

価格競争で埋もれた中価格帯・量販向け商品

ファストファッションなどの低価格帯に消費が集中する一方で、高級志向の顧客は限られたブランドを好みます。その狭間に位置する中価格帯の商品は、**「そこまで安いわけでもないし、高級ブランドほどの憧れもない」**という理由で売れ残りがちです。円高時に「少し品質の良い商品を安く仕入れられたから、まとめて発注した」という企業が、価格競争の激化に飲み込まれ、結局在庫を抱えてしまうことがよくあります。

コロナ禍や経済情勢の変化との合わせ技

最近では、円高と同時に世界的なコロナ禍やインフレなど、消費者のライフスタイルや購買意欲に影響を与える要因が複合的に絡み合っています。たとえば、「外出需要の減少でドレスやスーツが売れ残った」というケースや、「在宅ワーク需要でカジュアルウェアは売れるがフォーマル系が売れない」という変化が起きた時期もありました。このように、為替だけでなく社会情勢も加味した仕入れ・販売計画が必要ですが、急激な変化には対応しきれずに在庫が発生する企業も少なくありません。

円高をチャンスに変えられるかは在庫管理が鍵

ここまで、円高がアパレル業界に与える影響を6つの観点から整理してきました。円高時には「輸入コストが下がる」という大きなメリットがある一方で、お客さんが商品を欲しいと思う値段は大幅に変わらないため、価格設定は常に慎重に行う必要があること、さらに「過剰仕入れによって在庫リスクが高まりやすい」というデメリットも存在します。

アパレルビジネスはトレンドや季節の影響を大きく受けるため、「売れ残り在庫を出さない」仕組みづくりが極めて重要です。円高メリットを生かしてコストを抑えながらも、以下のポイントを押さえておくことで、リスクを最小限にとどめることができるでしょう。

私たち在庫処分会社としては、円高・円安にかかわらず、「気づいたら大量に売れ残ってしまった」「今期は予想が外れて在庫を抱えてしまった」といったお悩みに対応し、その在庫を次の販路へと繋げる役割を担っています。企業が抱える在庫をスムーズに処分し、資金繰りやブランドイメージの維持に貢献することで、アパレル業界全体を支えていくことが、我々の使命とも言えます。

アパレル業界において円高は、確かにコストダウンの追い風になる局面がありますが、同時に「安易な大量仕入れ」「値引き合戦の深刻化」「ブランド価値の揺らぎ」など、さまざまな落とし穴が待ち構えています。こうした局面でも健全な経営を続けるためには、在庫管理や販路開拓の重要性を今一度見直しておくことが欠かせません。

お客さんが“欲しい”と思う価格帯は常に安定していて、それを超える金額を容易には受け入れてくれない――アパレル業界におけるこの現実を踏まえたうえで、円高というビジネスチャンスをどう活かすか、またはリスクをどう最小化するか。そこに各企業の戦略と創意工夫が問われています。

円高が進んだり、為替が大きく動いたりするたびに、私たち在庫処分業者の元にはさまざまなブランドや小売店からの相談が増えます。

そのなかで感じるのは、「少し先を見越したリスク管理ができている企業」と「その場のコストメリットに飛びついてしまう企業」とでは、経営の安定性に大きな差があるということです。
もし現在、在庫管理や余剰在庫の処分でお悩みがあれば、早めに専門業者へ相談してみるのも一つの手だと思います。

円高の波にうまく乗り、コストメリットを享受するとともに、余剰在庫が生じた際の迅速な処分方法を確保することで、アパレル企業は大きく飛躍できる可能性を秘めています。逆に、対応を誤れば在庫を大量に抱え、せっかくのビジネスチャンスを不良在庫で台無しにしてしまいかねません。

為替変動の激しい時代だからこそ「過度に楽観視しない」「慎重かつ柔軟な仕入れと価格戦略を打つ」「早めに在庫処分ルートを確保する」という3点を、ぜひ心に留めていただきたいと思います。

円高・円安に関わらず、アパレル業界は今後も消費者のニーズに合わせた多様化が進んでいきます。

多くのブランドが新規参入し、多様な流通チャネルが誕生している今こそ、在庫管理と価格戦略で差別化を図ることが大きな成功要因になるのではないでしょうか。


【著者紹介】 山本昌一山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会

大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。

山本昌一プロフィール>>

見積もり無料!!050-3151-5247

お問い合わせ

       

在庫処分の流れを漫画で見る

TASUKEAI PROJECT 0

小中高および専門学校向け起業家教育のためのアパレル商品提供

地域の商店街活性化プロジェクト

アパレルOEMをご依頼の方へ

広告代理業

海外でのお取引をお考えの方へ

アライアンスパートナー募集

人材募集のご案内