コスメの在庫処分強化 障害者雇用にも貢献へ
2025年1月02日 7:14 PM
アパレル余剰在庫の買い取りなどを手がけるshoichi(ショーイチ、大阪市中央区)は、コスメの在庫処分ビジネスを強化している。
この数年はコスメの在庫処分工程の一部を障害者に任せることで、コストメリットと社会貢献につなげている。
同社はアパ レルやコスメ、生活雑貨などの在庫処分ビジネスを手がけており、メーカー、ブランドからキャリー品や余剰在庫を買い取り、加工して販売したり、リサイクルに回したりしている。
同社はブランド棄損を 防ぐために、必要に応じてアパレル商材のブランドタグをカットしているが、会社の成長に伴って買い取る在庫量が増え、タグカットなどの作業も膨大な数になった。
従来はこうしたタグカットの工程も自社で行っていたが、障害者就労支援事業所の力を借りることで、大量のタグカットを任せられる上に、人件費の抑制にもつながったことから、2021年5月に就労継続支援A型事業所「やさしいあおぞら」を開業するなど、障害者の起用を本格化している。
現状、アパレル以外の 商材のリサイクル工程、処分工程でも障害者を活用している。
強化中のコスメについ ては、サンプル品や試供品、B品(汚れや箱潰れ)、C品(破損、開封済)を含めてどんな状態の在庫でも買い取る。
コスメは製造から3年程度で販売できなくなるケースが多く、そのタイミングで在庫処分のニーズが高まるという。
買い取ったコスメは 、自社の物流センターにおいて1点ずつ手作業でパーツごとに解体する。
具体的には、外装のシュリンクフィルムや化粧箱、商品に貼られたシールなどを除去。次いで、内容物を容器から取り出し、洗浄する際は環境に配慮し、浄水器で油分などの不純物を取り除く。
容器は洗浄してパー ツ ごとに分別するだけ でなく、ブランド棄損を防ぐために、容器などに印字されたブランドロゴの撤去も徹底。
プラスチックや内容物、その他の包装物を資源ごとに分別し、それぞれリサイクル原料として売却する。
内容物については原材料ごとに回収し、サーマルリサイクルに回すという。
障害者には、部材の仕 分けなど細かく集中力が必要な作業に従事してもらっている。
ショーイチでは障害者 就労支援を通じ、業務の細分化が進んで効率化が図れたほか、社会貢献を肌で感じられるようになって社内の雰囲気も良くなったという。
一方、障害者の平均出勤率は 60%程度と低い上に、障害者それぞれで作業ペースが異なるため、作業スピードの安定性に欠けることから作業の納期は設けず、連携する支援事業所を拡充することで在庫処分のニーズ拡大に対応している。
同社では、「常々、仕事を通じて社会貢献したいという気持ちがあった。障害者就労支援も最初のうちはうまくいかなかったが、在庫処分の工程を細分化し、障害者の方には単純作業に没頭できる環境を整えたことで非常にうまく回っている」 (山本昌一社長)という。
【著者紹介】 山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。
山本昌一プロフィール>>