適正在庫と思っている在庫。それは本当に適正ですか?在庫処分屋が教える在庫のお話。
2013年2月05日 8:00 AM
適正在庫とは?
今日は適正在庫について書こうと思います。
私は20歳の時から在庫処分業務に携わって来ました。(もう15年になりますねw)
そんな中で会社が傾いたり、会社が倒産しする根源的原因は実は2つしかないことを知りました。
1,お金が回収できなかった時
2,在庫が積み上がった時
1を完璧になくすには、先に代金をいただくしかないと思います。
私も代金をお支払い頂けないこともあり、お金は相手社長の実家まで行って回収させてもらったこともあります。懐かしい…
これはみなさん頑張ってください。私も頑張ります。
2は商品の要因だけでなく、人的要因などいろいろありますが、結果として在庫が積み上がり、経営を圧迫したということです。
で、今回の「適正在庫」ですが、何が適正在庫なのか。
そして、在庫が積み上がらないようにどうするのか どう考えたらいいのかという話をしたいと思います。
難しい計算や理論はコンサルとか税理士さんに聞いてもらうとして、ここではざっくり概念中心にやっていきます。
■適正在庫とは
さて、適正在庫ってなんでしょう?
どうやって考えて行きましょう?
貴社の適正在庫は、3つの観点があります。
1,金融機関から見た適正在庫
2,社員スタッフや現場から見た適正在庫
3,社長から見た適正在庫
です。
どの観点からも「いつに、どのような内容で、いくらの在庫であることが適正在庫なのか」
同じ切り口で括っていきます。
■適正在庫 1,金融機関から見た適正在庫
金融機関さんが見てくるのは、期末在庫の金額のみです。
もちろん、金融機関さんが細かくて見てくる時はあります。
金融機関さんと相当金額のお付き合いしていたり、「この在庫を仕入れたいので短期で資金廻して欲しいです」という借り方してたりすると、金融機関さんも在庫に対して注意を払われることもありますが、大概は期末在庫の残高が全てです。
ほとんどの中小企業は(弊社も同じく)は融資がないと廻らず、一瞬で倒産してしまいますので、決算時の在庫金額は金融機関さんを失望させないように経営努力しないといけません。
会社を安定させるために、次の戦略の資金を得るために、期末在庫への経営努力を頑張りましょう。
時折、金融機関さんから、不良在庫、滞留在庫の管理と処理に関しても聞かれることがあると思います。
それはイコール、期末在庫の残高に不良在庫、滞留在庫は入っていないか。
在庫の内容は、イイ内容なのか?と聞かれているのです。
基本的には次に続く2,3をきっちりやっていれば、金融機関さんにもきっちり説明できると思いますので、本項をご理解して頂いた上で次の2、3に移りたいと思います。
■適正在庫 2,社員スタッフや現場から見た適正在庫
さて、金融機関さん以外には、社員スタッフから見た適正在庫と、社長から見た適正在庫を分けました。
社長さんなら感覚的にああなるほどと気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。
分けた理由を解説していきますね。
社長と社員スタッフの在庫に対する認識の違いはなんでしょう?
・社長は人事考課が関係ないが、社員スタッフは関係ある
・社長は会社全体の成績予算が気になるが、社員スタッフはどちらかというと個人の成績予算が気になる
・社長は資金繰りを考慮しなければならないが、社員スタッフはそもそも会社の資金繰りがわからないのでそもそも認識しない。
・社長は在庫情報をリアルタイムで取得しないが、社員スタッフはリアルタイムで取得している。
えーと、まず最初に誤解のないように一つだけ言わせてください。
上記いろいろ上げましたが、社長の考えが、社員スタッフより偉いというわけではないです。
また、社長の認識や考え方の方が会社にとって良い考えだから、社員スタッフの方に認識を改めてもらってください。
というわけでもありません。
そもそも社員スタッフは資金繰り見れませんので、不可能。望んでも叶わないことです。
ここでちょっと整理してみましょう、
ここまでの話で出た、適正在庫を測る「ものさし」にはどんなものがあるでしょうか。
1,期末在庫の残高
2,在庫の内容。(不良在庫、滞留在庫の管理)
3,会社の業績、昨年対比
4,現場の情報
5,資金繰り
6,在庫の保有期間
■適正在庫 3,社長から見た適正在庫
ばい、やっとまとめです。
ここまでの話で出た、適正在庫を測る「ものさし」には下記のものがあります。
1,期末在庫の残高
2,在庫の内容。(不良在庫、滞留在庫の管理)
3,会社の業績、昨年対比
4,現場の情報
5,資金繰り
6,在庫の保有期間
7,在庫処分
私は基本的に、私も他の社長も社員スタッフもみんなアホだと思っています。
すいません(笑)
誤解のないように言い直しますと、「みんなアホだから、とにかく少ない論点に絞って伝えないとメッセージは伝わらない。」と考えています。
上記で言うと
「適正在庫とは、在庫の内容(不良在庫、滞留在庫の管理)を精査しながら、会社の業績や昨年対比を考慮し、現場の情報を加えながら、資金繰りを鑑み、適正な在庫の保有期間を設定し、適切な在庫処分をして、期末在庫の残高を指定した金額に合わせること。」と言っても、社員スタッフや現場からしたら、そんなんわかるかボケ!となります。
続く
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【著者紹介】 山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。
山本昌一プロフィール>>