2022/2/21朝日新聞紙面で紹介されました
2022年2月21日 3:23 PM
あのマスコットは大阪の倉庫に・・・
熱戦のうちに閉幕した北京冬季オリンピック 。新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中での開催だったが、公式マスコットの「ビンドゥンドゥン」が人気で入手困難になるなど、盛り上がりを見せた。一方、同じくコロナ下で開催された東京五輪・パラリンピックから半年。その公式ライセンスグッズが、大阪の倉庫で人目に触れず大量に積まれている。
10 トン トラック10台分
在庫処分大手のショーイチ(大阪市中央)が管理する倉庫の一角に積まれた大量の箱。開けると、中には公式マスコット「ミライトワ」や「ソメイティ」のぬいぐるみなどがぎっしりと詰められていた。
同社に相談が増え始めたのは昨年10月ごろ。これまで7、8社と取引し、10 Tトントラック10台分ものライセンスグッズが倉庫に納められたという。シールやキーホルダー、文具やタオル、ぬいぐるみなどで、販売価格の1割以下で買い取ったり、無料で引き取ったりしている。
国内で売りやすい文具、タオルなどの実用品は、ディスカウントストアや同社が経営するアパレル店で格安で販売される。一方、キーホルダーやメダルなど国内では需要が無く売りづらい記念品は、海外の雑貨店で販売したり東南アジアの農村などに寄付したりするという。
多くが売れ残った背景には、コロナ禍による無観客での大会開催にも一因があるという。
ある雑貨メーカーでは、最終的に無観客開催が決定される前には、すでに有観客を想定した分の商品製造を終えていたという。
「政府や組織委が開催の直前まで決断を引き延ばしていた影響は大きい」と同メーカーの営業担当者。
また、大会組織委と結ぶライセンス契約の内容によっては、販売分だけでなく製造した全ての商品分の使用料を支払わなければならないものもあり、有観客を見込んで製造しすぎた在庫の負担は大きいという。さらに、メーカーから卸業者や小売業者への出荷は昨年12月末までと期限が決められていて、それまでに残った在庫は行き場を失う。
「少しでも配慮や保証があれば・・・」と同担当者。
「廃棄するぐらいなら寄付して誰かのためになれば」と、出荷期限の昨年末までに、在庫品の一部をショーイチを通して寄付をすることに決めた。
泣く泣く廃棄処分も
「うちに流れてくる商品は氷山の一角。赤字な上に、在庫として抱えたり、廃業したりするメーカーも多い」と指摘するショーイチの山本昌一社長。国内で在庫処分品として販売するのは、ブランドイメージを傷つける可能性もあり、泣く泣く廃棄処分を決断するメーカーもあるという。
SDGs の実現を掲げて開催された東京五輪。山本社長は「ライセンス商品は取り扱いが難しいところもあるが、廃棄ではなく、寄付などの道もあることを知ってもらえれば」と話していた。
(金居達朗 )
【著者紹介】 山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。
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