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メガバンク三菱UFJ銀行が在庫買取サービスを開始 戦略の真意とは | 株式会社Shoichi

メガバンク三菱UFJ銀行が在庫買取サービスを開始 戦略の真意とは

2022年7月07日 12:04 PM

 

三菱UFJ銀行が企業の在庫を一時的に買い取るサービスを始める。企業は必要なときに、あらかじめ決められた条件で在庫を買い戻すことができる。

半導体や鉄鉱石、小麦、トウモロコシを中心に幅広い在庫の買い取りを想定。

新たな資金調達手段として注目されそうだ。

半導体など在庫買い取り 資金繰り支援 三菱UFJ銀行
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b199d6916a7c6472018bc4fe7105b2954819d14

 

 

在庫を買い取る 三菱UFJ銀行 戦略の真意とは?

この度、三菱UFJ銀行が在庫を買い取る新会社「MUFGトレーディング」を設立し、半導体・鉄鋼石・小麦・トウモロコシなど原料を中心に在庫の買取サービスを開始すると発表されました。
この戦略の真意はどこにあるのでしょうか?

私が着目したポイント
・銀行の動産売買に対する戦略
・買い取る在庫は『動産』ではなく『原料』

まずは結論から。
UFJ銀行は、価値の確定しやすい、原料は買い取るが、

製品在庫、つまり、
トイレットペーパーや、ボールペンや、肉や、アパレルや、
そういうものをこの会社で買い取るつもりはない。
(評価会社が買取金額を担保した上で、買い取るというパターンはあり得る。だがそれが果たして「買取っている」と言えるのだろうか)

ですが、この動きが、国民に提供される製品の価格を一時的に抑える動きをする可能性はあります。
ただそれは、銀行が許容するリスクの範囲内でしか、効果は現れないでしょう。

今までの銀行の動産売買に対する戦略

まずは今までの銀行の動産に対する戦略から解説します。

銀行は基本的に金融庁に事業内容を制限されるので、プレイヤーとしての業務はできません。
例えば不動産や保険に関しても、「仲介する」ということしかできない。
(例 三菱UFJ銀行がお客さんに不動産を紹介するために三菱UFJ不動産販売を立ち上げているのはそのためです。)

銀行のお客さんが不動産を売りたいといえば、子会社を紹介します。
子会社にその機能がなければ(例えば地方銀行が不動産関係の子会社を持っていなければ)協力関係にある不動産業者を紹介することになります。

ここで大切なのは、動産は不動産よりもリスクが高いビジネスであるということ。
なので、銀行が子会社を作って動産売買に手を出すことはありません。
やっても成功しないと考えるからです。

仮に動産売買を開始したとしても、銀行内でもこんなリスクの高い子会社に行きたがる人間っていうのはいないのではないかと思います。
イメージとしては、その担当者は出世コースから外れたのと同義です。

では銀行は、動産の売買に関してどうやって対処しているのでしょうか?
答えは、弊社のような在庫買取業者を使っているのです。

弊社は銀行からの、在庫買取紹介が非常に多く、そういった背景があるためです。

銀行からの動産買取はどういうルートがあるか

銀行からの動産の買い取り紹介は下記の2パターンに分かれます。

1,取引先が在庫過多になり、キャッシュフローが悪化した場合
それ以外にもあまりに昔の在庫をそのまま仕入れ価格で計上していた場合など、
決算書に大きな影響を与えてる状況であれば、「在庫を処分して身軽になってください」と要請します。

当然在庫処分になるため、通常よりも良い値段で売れることはなく、安い値段で売ることになります。
不良在庫を安く売って、赤字が出たとしても、決算書をきれいにするメリットが上回った場合に行われます。

2,倒産した場合
私は倒産した会社の在庫を事業ごと何度か受けたことがあるので経験値があります。
倒産した場合は、倒産した会社側の弁護士と、破産管財人に管理が引き渡されます。
速度を急ぐのであれば、任意売却されることもあります。

任意売却されない場合は、皆さんもよく耳にするはずですが、競売にかけられます。
売却された資金は、弁護士費用→従業員の未払い給料→債権者(取引先、銀行)の順で、配分されることになっています。

つまり弁護士費用で売却金額がなくなってしまえば従業員の給料は未払いとなってしまいます。(そのための救済措置はあるのでご安心を)
債権者には救済措置はないので1円ももらえないことになります。

(弊社ももらえなかったことは何回もあります)

 

在庫関係の金融商品(ABL)

では銀行は直接動産の在庫に触れないのかというと、そうでもないのです。
数年前に国が推進していた、ABL(動産担保融資)という金融商品があります。

詳しくは下記URLをご確認ください。
簡単に説明すると、

「月末の在庫を報告してもらってそれに対してお金を貸します。」
というシステム。

ABL 動産担保融資について>>

 

「なんだそれいいじゃないか。中小企業のためを思った融資だね」と思った方、そんなに甘くないです。

まず、月末在庫をきっちり出しているという中小企業は意外と多くありません。
それに、月末在庫をきっちり出していたとしても、そのままの在庫金額に対してお金を貸してくれるわけではなく、評価会社が評価額を算出します。

例としては、
会社 「今月末の在庫金額は1億円あります!」

銀行 「わかりました!そしたら評価会社に在庫金額を査定します。評価費用はすいませんけど会社負担でお願いします」

評価会社 「銀行さんご依頼ありがとうございます。この在庫は会社さんは1億円と言ってますが市場価値ですと2000万円です。評価費用は100万円です。毎度ありがとうございます!」

銀行 「それは低すぎるから困ります。せめて3000万円にしてください。」

評価会社 「分かりました3000万円で。また評価する仕事ください。」

銀行 「ありがとうございます。もしこの会社が倒産したらこの在庫3000万円で買ってくださいね。責任持ってくださいね。」

評価会社 「はい、、、、」

銀行 「会社さん、在庫金額は1億円ですが、評価は3,000万円なんで、3,000万円ご融資します。」

会社 「はい、、、、」

という仕組みになります。

 

一見、会社に対して酷なように見えますが、中小企業側は在庫金額を現金程きっちり精査できるわけではなく、
倉庫の商品が何らかの理由で無くなっていても気づかない中小企業もたくさんあるのが現状です。

銀行側としても、不動産に比べて動産のプロを育てるのは難しく、コストが高すぎるのでやるべきではないでしょう。

だから銀行のリスク管理からすると、当たり前と言える仕組みです。
仮に、私が銀行に勤めていたら同じやり方をするでしょう。

 

なぜ今回 UFJ銀行は在庫買取専門の会社を立ち上げたのか

今回の UFJ銀行の在庫買取専門の会社は、

「コロナで苦しんでる企業から在庫を買い取る会社を立ち上げた!UFJ銀行えらい!!」

とミスリードしやすいと感じました。
(銀行側は意図的に狙ってるわけではないと思います)

見て頂きたいのが、半導体 鉄鋼石 小麦 トウモロコシと、本当に原料しか並んでいないし、恐らく原料しか買い取る気はないのだと思います。

原料価格は、製品の動産と違い、先物取引にもなるぐらい価格が世界規模で管理されています。
だから、銀行としては、輸入のLC取引

LC取引について
に毛の生えた程度のリスクしか取らないと、考えてるのだと思います。

もしくは、

政府から「国民に提供される製品の、値段が跳ねあがらないように、銀行が原料を安く抑えておけ。なんとかしろよな!!」と言われて、

銀行側が 「めんどくせーし、やりたくないけど、政府に怒られたくないしプロレスするか。
とはいえ多少のリスクしか、取れないから、融資以外に、何か考えよう。
あ、そうだ。許容リスク内で在庫を買い取る会社にするか。」
ということかもしれないですね。

銀行の人はとにかくお金儲けが上手だから、ここからめちゃめちゃ儲かるようにできれば、この業態でも伸びるかもしれない。
銀行の決算書に、「在庫金額」が載ることはないだろうし、ここで買い取った在庫も結局は金融商品化されて管理されると思います。

銀行は常に総量規制と戦ってるから、総量規制に貢献する、
例えば金融庁が「この在庫買取に関しては、総量規制の計算の時に融資額の2倍でカウントしてあげる!!」といえば、銀行はこぞってやるでしょうね。

まとめ

製品在庫、つまり、
トイレットペーパーや、ボールペンや、肉や、アパレル、
そういうものがこの会社に買い取られることはありません。
(評価会社が買取金額を担保した上で、買い取るというパターンはあり得る。だがそれが果たして「買取っている」と言えるのだろうか)

ですが、この動きが、国民に提供される製品の価格を一時的に抑える動きをする可能性はあります。
ただそれは、銀行が許容するリスクの範囲内でしか、効果は現れませんが。


【著者紹介】 山本昌一山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会

大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。

山本昌一プロフィール>>

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