2021/7/26 毎日新聞に掲載されました
2021年7月26日 3:00 PM
衣類廃棄0で学ぶ場増やし
世界遺産のアンコールワット遺跡群を擁するカンボジアのシエムレアプで日本語を学んでいる地元の子どもたちがいる。郊外の集積所に廃棄される「ごみの山」で働いていた子どもの姿を見て日本人の若手起業家が日本語学校を開設。その運営を支援するのが、在庫衣料などの買い取り・販売を手がける「shoichi(ショーイチ)」(本社・大阪市)だ。「TASUKEAI 0(タスケアイ・ゼロ)」と銘打つ同社のボランティアプロジェクトの一環。買い取った在庫品をカンボジア、マレーシアなどの海外店舗で売り、利益の一部を寄付している。
「日本から多額の政府開発援助( ODA) が支出され、学校も建設されているが日本語を教えるところはほとんどない」と最高経営責任者(CEO) の山本昌一さん(42)は言う。「『将来、日本で働きたい、日本とカンボジアをつなぐ仕事をしたい』。子供たちが笑顔で、そんなことを言ってくれるのです」
堺市で生まれ、「学生のころから、ファッションブランドの服を好んで着ていた」という山本さんは2005年、大学を卒業と同時に同社を設立した。
買い取る場合は、メーカー側に、在庫処分に至るまでの事情を聴く。「タグは切り取るか、そのままか」など要望を取り入れ、ブランド価値を損なわないよう販売する。この20年で衣料、食品など約2000社の在庫を取り扱うようになり、年商約26億円(グループ全体、従業員は計約50人)の業界トップに成長した。
「メーカー側もできるだけ余剰品を作らないよう努力しているが一定程度、在庫が出るのは仕方がない」と山本さん。「商品を企画し、デザインした人々にとって在庫処分つらい。その思いを受け止め、違う形でよみがえらせていく」
衣類の廃棄をゼロにして、東南アジアの子どもたちが学ぶ場を増やす。「ショーイチ」のミッション(任務)だ。
【明珍美紀】=つづく
【著者紹介】 山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。
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