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マスクバブルに関し、卸値、法人在庫処分、個人取引、あらゆる観点から価格の推移を観察 | 株式会社Shoichi

マスクバブルに関し、卸値、法人在庫処分、個人取引、あらゆる観点から価格の推移を観察

2021年10月18日 2:07 PM


弊社は、在庫処分会社であり、在庫取引データ会社として「在庫速報.com」(HP: https://zaikosokuho.com/ )、「オークション価格相場研究所」(HP: https://auc1.net/ )、を運営しています。
在庫処分に関してお問い合わせの回数が多く、「マスクの在庫処分」を月に50件、在庫処分会社として取り扱っています。

今回マスクバブルに関し、通常卸値、法人取引、法人在庫処分、ディスカウンター価格、そして個人取引、
あらゆる観点から価格の推移を見ることができたので、とても分かりやすかったです。
この興味深く、かつ、社会に様々な混乱を与えた事象を、2度と起こすことがないように、レポートとして現場の声を通じてお送りします。

インタビュー:2021年9月末 shoichi社員、社長山本 マスク価格の推移・買取事例について

■~ 高騰の兆し ~ 2019年10月~2020年2月

山本:本当にマスクバブルはすごかった。「投機」という言葉通りの現象だった。
今回は、マスクという、どこにでもあるはずだった商品が、コロナという非日常的な現象により商品価値が突然上がり、需要供給バランスが大きく崩れた。

野崎:山本社長がコロナについての話聞いたのっていつですか。

山本:中国とよく貿易してる取引先が、2019年の11月ぐらいに、「中国でサーズみたいな風邪が流行っているらしいぞ。もしかしたら日本も来るかもな」と冗談交じりに言っていたの覚えてる。
12月ぐらいに「もしかしたらSARS の時みたいにマスクの値段ちょっと上がるかも」と言って仕入れてる人がいた。

野崎:1月にはマスクの値段が上がる兆候が見えて、仕入先が全く無いので、仕入先を探し始めてました。
運良く、仕入先を見つけたところは、みんな中国に発注し始めてましたね。
どうせすぐにコロナの騒ぎは収まると思って、当時残っていたメーカーの在庫をたくさん買い集めてる人もいました。

山本:あの時にマスクを沢山注文できた人って、すごい感覚を持ってる人。
shoichiでは、3月には落ち着くだろうとか呑気なこと言ってた記憶がある。
前の SARS の時にマスクを仕入れて、マスクの在庫を抱えて逃げ遅れた人がたくさんいたので、「絶対に在庫を抱えないでおこう」と話していた。

山本:当時、2019年10月、そして2020年1月はマスクいくらぐらいだった?

野崎:
2019年10月 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     10-20円(いくらでも入手可能)
通常メーカー卸価格  5-8円(いくらでも仕入れができた)
在庫処分価格     ※1円前後

2020年1月 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     20-30円(店頭品切れ気味)
通常メーカー卸価格  5-8円(品切れ メーカーによっては受注を受けないところも)
在庫処分価格     ※3-5円前後
 

■~ 最高値のゴールデンウィークに向かう ~ 2020年2月~4月

2020年4月 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     50-70円(店頭品切れ気味)
通常メーカー卸価格  20-30円(品切れ メーカーによっては受注を受けないところも)
在庫処分価格     ※10-30円
在庫速報.com平均流通価格 63-80円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask
在庫速報.com最安値  49-57円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask

野崎:メーカーより高い価格ですが、現物が不足していたのでこの単価で仕入れても問題なかったです。GW直前までは。2020年2月から5月へ向かっての、価格の高騰は本当にすごかったです。

山本:先に中国でコロナが蔓延していたこともあって、海外の状況に明るい商社筋は、情報を掴んでいた。
それでも商社の対応が間に合わないぐらい、マスクが買い占められ、値段は高騰し、入手すらできなくなっていた。受注はしていたが、納品は8月~年末頃になっていた。

野崎:毎日値段が上がっていました。

山本:詐欺みたいな話も多かった。
中国に全く関係性のない会社が、中国に発注して連絡が無くなったとか。
お金を振り込んだけども 商品は届かずに、結局7月頃納品されたとか。
とにかく先にお金を振り込んでるくれという話は、怪しくてやばい話が多かった。

野崎:社長も引っかかりそうになったじゃないですか(笑)

山本:あの時みんなに全力で止められたな。
「社長、もうマスクは投機商品です。手を出すのやめましょう。俺たちは在庫処分の会社じゃないですか。」って。

野崎:メディアも報道がすごかったです。
あとみんなコロナで不安で、お店も緊急事態宣言でしまって売り上げも立たないし、売るものがマスクしかなかった。これが大きいと思います。
他には、原料である不織布の品切れ、一般人の買い込み、転売ヤーの買い占め、などありました。

山本:あと仕入れ値段の高騰もある。
当時、マスクを買いませんかという話は20~30円の話が多かった。

アパレルの工場にマスクを作れないかと思って聞いてみたら、「中国国内でも不織布が従来の3倍以上に値上がってます」と言われた。
中国側でも、作れる値段が高騰していて、中国側の卸値の最低価格は20円だから、流通に乗せるとどうしても卸値が30円、40円となる。
そこから販売するから一枚50円一箱3000円となる。

日本の業者側は、リスクに対して思ったより薄利だったと思う。
それでも飛ぶように売れたから、みんな発注した。

野崎:最高値は一箱4000円です。1枚当たり80円でした。
社長の言うように、日本に入ってきた時点で一次業者の仕入れ価格がが30円ぐらいでしたから、流通で業者を二人通せば、50円ぐらいになったと思います。
そこから利益率35%で70~80円になるのは、商売の数値としてはおかしくないんですけど、明らかに異常です。

山本:「飛ぶように売れたから、リスクを感じなかった」「マスク以外売るものがなかった」この2点だと思う。

野崎:商品の品質も凄かったです。3層マスクなのに、1層しかないとか(笑)
まずマスクの話が来たら、紐をちょっと強く引っ張って紐が取れないか試してました。
マスクにハサミを入れてちゃんと3層あるかも、確かめてました。箱も中国語の箱が多かった。

山本:ゴールデンウィークに近づくにつれて、日本語の箱で注文できるって話が増えて行った。
あの時点で、中国語表記、英語表記の箱は「ヤバい」という、雰囲気になっていた。

野崎:テレビで、中国語表記のマスクの箱を積み上げている転売屋さんが映された時は、これはいつかshoichiに在庫処分としてくるだろうと思いました。

山本:あの頃(2020年2月~3月)、shoichi社内で「マスクがこんなに高騰してもいいのだろうか」という話になって、1円キャンペーンやったよね。

第一弾 2020年2月4日~2月12日
https://shoichi.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9/pr35.php

第二弾 2020年3月5日~3月20日
https://shoichi.co.jp/%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9/%e3%80%90pr%e3%80%91-%e3%83%9e%e3%82%b9%e3%82%af1%e6%9e%9a1%e5%86%86%e6%8a%bd%e9%81%b8%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%80%80%e7%ac%ac2%e5%bc%be%ef%bc%81.php

野崎:キャンペーンはものすごくバズりました。ああいう社会にとって良い事をもっとやっていきたいです。

■~転売禁止政令は意味がなかった~

2020年3月15日には、転売目的のマスクの買い占め、高額転売が問題視され、「国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令」に基づき、マスクの転売が禁止されました。
消費者庁:3月10日閣議後大臣会見における衛藤内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)発言
https://www.caa.go.jp/about_us/minister/eto_message_003/

野崎:ネッシー、スーパーデリバリー、勝手サイトだと、高い値段で全然買えましたもんね。
メルカリで販売規制されたとしても。あれって規制の意味がなかったと思うんですけど。

山本:メルカリ、Yahoo、楽天が封じられて、小さいサイトが得をしたという感じだった。

■~ GWから雪崩のように ~ 2020年5月~8月

2020年5月後半 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     40-50円(店頭品切れ気味)
通常メーカー卸価格  20-25円(品切れ メーカーによっては受注を受けないところも)
在庫処分価格     ※20-25円
在庫速報.com平均流通価格 60-22円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask
在庫速報.com最安値  16-21円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask

2020年8月 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     20-30円(店頭品切れ気味)
通常メーカー卸価格  15-20円(品切れ メーカーによっては受注を受けないところも)
→このころから ちらほら届き始めてたが、4月の20-30円仕入れの商品なので動きはほぼ止まった。
在庫処分価格     ※10-15円
在庫速報.com平均流通価格 10-18円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask
在庫速報.com最安値  5-8円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask

野崎:ゴールデンウィークはまさに分水嶺でした。
ゴールデンウィーク直前にマスクを発注した方で、赤字でも商品を売っていかなかった方は全員在庫をだぶつかせる結果となりました。

山本:覚えてるわ。shoichi社内でも「ゴールデンウィークは絶対持ち越さないでおこう」という話をしていた。

野崎:各メーカーが生産体制を強化するという報道が出始めたのもゴールデンウィークからでした。
先ほどの意見の通り、転売熱が覚める、恐怖心が和らぐなどを含めて、さらに供給が増えてきたというのもあって、明確に価格が下がってきた。

高橋:下がったら今度はサーキットブレーカーみたいな感じで一気に価格が下がって、みんなが我先に価格を下げてでも売り抜けたい。
ゴールデンウィークを境に一箱2000円台が出てきたので、40円くらいまで下がった。
そこから1日、日ごとにもう1枚あたり値段が1円下がるとか。

野崎:夏頃、2020年8月には一箱1000円を切る商品が出始めた。

山本:そやんな。で、品質の悪い中国製品が取引に不利になった。

■~ まとめ 現在の価格 ~ 2020年9月~2021年10月

2021年9月後半 (1枚あたり価格 不織布箱入り50枚マスクの1枚価格)
店頭小売価格     10-20円
通常メーカー卸価格  3-5円
在庫処分価格     ※0.8-1.5円
在庫速報.com平均流通価格 8-12円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask
在庫速報.com最安値  1-4円(詳細: https://zaikosokuho.com/stats/mask

山本:そこから、現状いくらまで落ちただろう?

野崎:今は、上記の通りです。
中国語の箱も国内のものは出尽くしたのか、問い合わせには来なくなりました。

山本:現在のマスクの在庫処分の状況は?

野崎:多いです。
本来コロナだから使用する数が増えていると思うんですけど、本来使用される数、需要を大幅に供給が上回ってしまったというのが今年の春から現在にかけての状態です。
マスクを作ったメーカーに加えて、雑貨屋さんやアパレルでもマスクを作り始めた。
去年作りすぎてしまったマスクの在庫もある。
9月末、コロナが落ち着いてない状態でも、マスクの供給は大手メーカーによって十分にされてると思います。

山本:生活用品全体の売り上げは、去年より上がっているけど、マスクは売り上げが下がってるらしい。

野崎:在庫処分商品も出回り、販売平均単価が下がっている。
枚数は売れているが、金額で売れていない、だと思います。
去年に比べると単価が下がっているんで、商品枚数が同じでも売上金額は下がる。

山本:在庫速報.comではマスクの値段は最安値2円。50枚入りだと一箱100円。これはコロナ前よりも安い。
株式会社shoichiにも在庫処分のマスク買取依頼は来続けている。

野崎:最大で3億枚の案件もありました。
先方の希望は1枚10円でという話だったんで、30億円。
この時期なら在庫処分してもおかしくない話なのに、10円を希望されたということは多分高い値段で買われてたんでしょうね。

山本:shoichが、在庫商品、不織布の普通のマスクを売買する価格は一枚あたり大体0.8円から1.5円ぐらいです。
流通コスト合わせると、在庫速報.comの1枚2円から3円っていうのはすごく分かる値段。


【著者紹介】 山本昌一山本昌一
株式会社shoichi代表取締役
所属団体:KanFa関西ファッション連合/日本繊維機械学会/JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会

大学在籍中からヤフーオークションでブランド商品・アパレル等の販売などを行い オークションで仕事をする自営業の道を選ぶ。 その後在庫処分ビジネスをスタートし、20年間在庫処分の業界に身を置く。 累計4000社のあらゆる在庫処分を手掛ける。

山本昌一プロフィール>>

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