「環境にやさしい」「サステナブル」「エコ素材」——アパレルの商品タグやECサイトで、こうした言葉を見かけることが当たり前になりました。一方で、根拠をはっきり示せない環境アピールは「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、国内外で行政処分や制裁金の対象になり始めています。

 

日本では2026年3月に環境省が「環境表示ガイドライン」を13年ぶりに改定し、EUでは2026年9月27日からグリーンウォッシュを禁止する新しいルールが適用されます。この記事では、アパレル企業・メーカーのご担当者に向けて、グリーンウォッシュの意味、規制の動き、実際の事例、そして「言われないため」の具体的な対策をわかりやすく解説します。

グリーンウォッシュとは?

グリーンウォッシュとは?

グリーンウォッシュ(Greenwashing)とは、「グリーン(環境に配慮している)」と「ホワイトウォッシュ(うわべを取り繕う・ごまかす)」を組み合わせた言葉です。実際よりも環境にやさしいように見せかける表示や広告を指します。

 

環境省も、科学的な根拠が乏しいのに環境によいと見せかける問題として「グリーンウォッシュ」に注意を呼びかけています。大切なのは、わざとだますつもりがなくても、言い方があいまいだったり、根拠が足りなかったりするだけでグリーンウォッシュと受け取られる点です。

グリーンウォッシュと判断されやすい3つの特徴
・あいまい:「エコ」「地球にやさしい」など、何がどうよいのかわからない
・大げさ:一部の取り組みを、商品全体・会社全体の成果のように見せる
・証明できない:聞かれたときに、データや証明書で説明できない

アパレル業界で起きやすいグリーンウォッシュのパターン

アパレル業界では、素材・生産・販売・廃棄のそれぞれの場面で環境アピールが行われます。特に次のようなケースは注意が必要です。

✓言葉だけの訴求:「サステナブル」「エコ」と書くだけで、どこが環境に配慮しているのか説明がない
✓一部を全体のように見せる:再生素材をごく一部にしか使っていないのに、商品全体やブランド全体が環境配慮型のように見せる
✓マイナス面を隠す:素材を変えてCO₂を減らした一方で、別の環境負荷が増えていることに触れない
✓根拠のない数字・比較:「CO₂を50%削減」と書きながら、何と比べたのか、どう計算したのかを示せない
✓自社マークを認証のように見せる:自社で作ったマークを、第三者の認証マークのように使う
✓「リサイクル」「廃棄ゼロ」の言いっぱなし:回収の仕組みや、実際にどこで何に再生されたかの記録がない

なぜ今、アパレル企業はグリーンウォッシュに注意すべきなのか

これまでグリーンウォッシュは「イメージが悪くなる」という評判の問題として語られることが多くありました。しかし現在は、国内外でルールが具体的になり、法律やガイドラインにもとづいて判断される問題へと変わっています。

日本:環境省「環境表示ガイドライン」が13年ぶりに改定(2026年3月)

環境省は2026年3月31日、「環境表示ガイドライン」の改定版を公表しました。自己宣言で環境に関する表示を行う企業を主な対象に、国際規格(ISO/JIS Q 14021)に沿った表示を求めるものです。

 

対象は商品の表示だけではありません。企業の事業活動、イメージ広告、企業姿勢についての表示も含まれます。コーポレートサイトやブランドの世界観を伝える広告も、見直しの対象になるということです。

改定版ガイドラインの「5つの基本項目」
① あいまいな表現や環境主張は行わないこと
② 環境主張の内容に説明文を付けること
③ 製品のライフサイクル全体を考慮すること
④ 環境主張の検証に必要なデータや評価方法を提供でき、情報にアクセスできること
⑤ 比較する主張は、LCA(ライフサイクル評価)や数値などで適切に行うこと

今回の改定で特に話題になったのが、単独で使うのを避けるべき表現の例に「持続可能」が加わったことです。「環境にやさしい」「地球にやさしい」「グリーン」なども以前から例として挙げられています。こうした言葉は使えないわけではありませんが、使う場合は必ず具体的な説明を添えることが求められます。

 

また、製品のごく一部(例:製品重量の1%未満)についての環境主張を、製品全体や事業全体のことのように表示するのは誇張にあたり、不適切とされています。

ガイドライン自体に法的な強制力はありません。ただし環境省は、できるだけ早い時期に新しいガイドラインに沿った表示へ切り替えることが望ましいとしています。「法律違反ではないから大丈夫」ではなく、「説明できるかどうか」が問われる時代になっています。

EU:グリーンウォッシュ禁止ルール(ECGT指令)が2026年9月27日から適用

EUでは、指令(EU)2024/825、通称「グリーン移行のための消費者エンパワーメント指令(ECGT指令)」が定められました。加盟国は2026年3月27日までに国内法に取り入れ、2026年9月27日から適用されます。主に次のような表示が禁止・規制されます。

禁止・規制される主な表示 アパレルでの例
根拠のない一般的な環境アピール 「エコフレンドリーなデニム」とだけ書く
認証制度にもとづかないサステナビリティラベル 第三者のチェックがない自社独自の「エコマーク」
一部の特徴を、製品や事業全体の主張にする 裏地だけ再生素材なのに「サステナブルなコート」
カーボンオフセットだけを根拠にした「カーボンニュートラル」 排出枠の購入だけで「CO₂ゼロのTシャツ」とうたう
実行計画や第三者の検証がない将来目標 具体的な計画なしに「2030年までにネットゼロ」

EUの消費者に向けて販売する場合は、越境ECを含めて日本企業も対象になり得ます。なお、環境主張の事前検証を求める「グリーンクレーム指令案」は、2025年6月に欧州委員会が撤回の意向を示して以降、審議が止まっています。ただしECGT指令はこれとは別に成立しており、予定どおり適用されます。

アパレル業界に関わるグリーンウォッシュの事例

実際に当局から指摘を受けた事例を見ると、どこに注意すべきかがよくわかります。

海外の事例

H&M・Decathlon:「Conscious」などの表示をオランダ当局が問題視(2022年)

オランダの消費者・市場庁(ACM)は、H&Mが「Conscious」、Decathlonが「Ecodesign」といった表示を、何が環境によいのかを十分に説明しないまま使っていたことを問題視しました。

 

2社は表示を修正または使用をやめることを約束し、H&Mは50万ユーロ、Decathlonは40万ユーロをサステナビリティ関連の団体へ寄付することになりました。この約束を受けて、ACMは制裁を科していません。

SHEIN:「循環型」「リサイクル可能」の表示でイタリア当局が100万ユーロの制裁金(2025年)

イタリアの競争・市場保護委員会(AGCM)は2025年8月、SHEINの欧州向けサイトを運営する会社に100万ユーロの制裁金を科しました。「循環型の仕組みづくり」や製品のリサイクル性についての説明が、誤りか、少なくとも誤解を招くものと判断されたためです。環境配慮型ラインについても、それが全商品のごく一部にすぎないことを明確にしていなかった点が指摘されました。

 

さらに、2030年までの温室効果ガス削減目標などが具体性に欠け、実際には2023年・2024年に排出量が増えていたことも問題とされました。将来目標の出し方もグリーンウォッシュの対象になることを示す事例です。

国内の事例

「生分解性」表示をめぐり10社に措置命令(2022年)

消費者庁は2022年12月、「生分解性」をうたっていたゴミ袋・レジ袋、カトラリー・ストロー・カップ、釣り用品、エアガン用BB弾の販売事業者、あわせて10社に景品表示法にもとづく措置命令を出しました。表示の裏付けとなる合理的な根拠が示されなかったためです。

 

アパレルの事例ではありませんが、「素材の環境性能」を表示するときに根拠が問われるという点で、衣料品にもそのまま当てはまります。改定版の環境表示ガイドラインでも、この国内の措置命令に触れています。

3つの事例に共通するのは、取り組みそのものではなく「伝え方」と「根拠」が問題になったという点です。再生素材を使うこと、目標を掲げることは悪いことではありません。問われているのは、それを正確に、証明できる形で伝えているかどうかです。

グリーンウォッシュと言われないための5つの対策

グリーンウォッシュと言われないための5つの対策

ここからは、アパレル企業が今日から取り組める対策を、進める順番に紹介します。

1

自社の環境表示を洗い出す商品タグ、ECの商品ページ、SNS、店頭POP、会社案内、採用ページまで、環境に関する言葉を一覧にします。ブランド広告や企業サイトも対象です。

2

あいまいな言葉を具体的な事実に置きかえる「どの部分が」「何%」「何と比べて」を書き添えます。一部の取り組みなら、一部であることをはっきり示します。

3

根拠となるデータ・証明書をそろえる認証書、試験データ、取引の記録、リサイクルの証明書など、外部の人が確認できる形で保管します。聞かれたらすぐに出せる状態が理想です。

4

製品のライフサイクル全体を見る原料から生産・輸送・販売、そして売れ残り在庫の処分まで確認します。ある工程でよいことをしても、別の工程で負荷が増えていないかをチェックします。

5

表示を出す前の社内チェックを仕組みにする商品企画・EC・広報が環境に関する表示を出す前に、根拠資料と照らし合わせて確認する流れをつくります。担当者が変わっても品質が保てるようにするためです。

見直したい表現と、具体的な表現の例

ステップ2の「置きかえ」のイメージです。数字は例なので、実際の数値と根拠に合わせて調整してください。

見直したい表現 具体的な表現の例
地球にやさしいTシャツ 生地の50%(重量比)に再生ポリエステルを使用したTシャツ
サステナブルなブランドです 2025年度は全商品の30%でGOTS認証のオーガニックコットンを使用しています
カーボンニュートラルな商品 縫製工程のCO₂排出量を自社2020年度比で20%削減(算定方法は当社サイトで公開)
売れ残りは一切廃棄しません 2025年度に発生した余剰在庫12トンを、繊維原料としてリサイクルしました(リサイクル証明書を取得)
リサイクル可能な素材を使用 店頭で回収した衣類は、提携先で繊維に戻し、フェルトなどの原料に再生しています

見落としがちな「売れ残り在庫の出口」もグリーンウォッシュの火種に

環境への取り組みというと、素材や生産工程に目が向きがちです。一方で、売れ残った在庫の処理は外部の業者に任せきりになっているケースも少なくありません。

 

しかし、「廃棄ゼロ」「売れ残りはリサイクルしています」と発信するなら、その在庫が実際にどこで、何に再生されたのかを説明できる必要があります。ガイドラインの基本項目④「検証に必要なデータを提供できること」は、在庫処理にもそのまま当てはまります。委託先を選ぶときは、次の点を確認しておきましょう。

✓引き渡した在庫が、どこで・どんな方法で処理されたか記録が残るか
✓焼却や埋め立てではなく、リサイクルされたことを示す証明書を受け取れるか
✓処理量(何トン・何枚)を数字で把握できるか
✓処理の途中で商品が転売・流出しない管理体制があるか(ブランド価値にも直結します)

「リサイクル業者に出したから大丈夫」は要注意処理の中身を証明できなければ、「廃棄ゼロ」「循環型」といった発信は根拠のない主張になりかねません。在庫の処理方法と、その記録の残し方を見直したい方は、Shoichiにご相談ください。

在庫リサイクルの「根拠づくり」はShoichiにご相談ください

Shoichiイメージ

Shoichiは「リサイクルで世界中の衣類廃棄をゼロに。」を掲げ、アパレル企業の余剰在庫のリサイクルを行っている会社です。自社で仕分け・解体を行い、再生ウールやフェルト製品などへの加工までを一元管理しています。処理の結果をご報告できるため、環境に関する発信の裏付けとなる資料として活用いただけます。

グリーンウォッシュ対策の観点から見たShoichiの特長
・「リサイクル化証明書」の提出:リサイクルの結果をご報告し、証明書をお渡しします。「余剰在庫○トンをリサイクル」といった具体的な表示の根拠として使えます
・加工まで自社で一元管理:仕分け・解体から再生素材への加工まで管理しているため、「どこで・何に」再生されたかを説明しやすくなります
・ブランド毀損の防止:ブランドネームを確認してカットし、ブランド名は記号化して管理。契約時には機密保持も明確に定めます
・大量の在庫にも対応:大阪・奈良・三重に延べ5,000㎡の自社倉庫を持ち、年間約600トンのリサイクル処理能力があります
・スピード対応:お問い合わせには24時間以内に返答。在庫の回収は20万枚以内なら10日以内、20万枚以上でも2〜3週間が目安です

さらにShoichiでは、一般的には費用を払って産業廃棄物として処分されるアパレルの余剰在庫を、リサイクル原材料として買い取る仕組みをご用意しています。

 

これまで「コスト」だった在庫処理が、「売上」に変わります。また、リサイクル作業には就労支援の方々が携わっており、環境面だけでなく社会面の取り組みとしてもお伝えいただけます。

「説明できるリサイクル」で、
自信を持って環境への取り組みを発信しませんか
▶リサイクル化証明書で、環境表示の根拠を残せる
▶タグカット・記号化管理・機密保持でブランドを守る
▶余剰在庫を買い取り、廃棄コストを売上に
▶他社との相見積もりも歓迎。自社工場の見学も受け付けています
「在庫の処理方法を見直したい」「環境への取り組みを正しく伝えたい」
そんなアパレル企業・メーカーの皆さま、まずはお気軽にご相談ください。

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お電話でのお問い合わせ:050-3151-5247(平日 9:00〜18:00)

よくある質問

Q. グリーンウォッシュに罰則はありますか?
A. 日本では、環境に関する表示が景品表示法の「優良誤認表示」にあたると判断されると、消費者庁から措置命令が出され、条件によっては課徴金が課されます。EUでは各国の法律にもとづき、SHEINの事例のように制裁金が科されることがあります。
Q. 「エコ」「サステナブル」という言葉は、もう使えないのですか?
A. 使ってはいけないわけではありません。ただし、環境省のガイドラインでは、あいまいな表現を単独で使わず、必ず具体的な説明を添えることが求められています。「何が」「どのくらい」環境に配慮しているのかをセットで伝えましょう。
Q. 国内だけで販売していれば、EUのルールは関係ありませんか?
A. ECGT指令はEUの消費者向けの表示が対象のため、国内販売のみであれば直接の対象ではありません。ただし、日本の環境表示ガイドラインも同じ方向で改定されており、国内でも「根拠を示せる表示」が求められる流れは同じです。

まとめ

グリーンウォッシュは、悪意がなくても「あいまいな言葉」や「根拠の不足」から生まれます。2026年は、国内では環境表示ガイドラインの改定、EUではECGT指令の適用と、ルールが大きく動いた年です。

 

対策の基本は、表示を具体的にすることと、根拠を残しておくことの2つです。素材や生産だけでなく、売れ残り在庫の処理まで含めて「説明できる状態」をつくることが、ブランドへの信頼を守ることにつながります。在庫リサイクルの記録づくりからお手伝いできますので、ぜひShoichiにご相談ください。