繊維リサイクルは、衣類や布製品を再資源化する取り組みとして注目されています。

アパレル業界でも在庫処分の新しい選択肢として広がりつつありますが、素材の分別やコスト、ブランド管理などの課題も存在します。

この記事では、繊維リサイクルの基本からメリット、直面しがちな悩み、そして解決方法までをわかりやすく解説します。

繊維リサイクルとは?

繊維リサイクルとは、使われなくなった衣類や布製品などの「繊維素材」を回収し、新たな製品や資源として再利用する取り組みのことです。まだ使える衣類を再使用(リユース)するだけでなく、ボロボロになった服や端切れなども、素材として生まれ変わらせることができます。

 

従来、アパレル業界では売れ残った在庫や不要になった服の多くが焼却・埋め立て処分されてきました。

 

しかし近年では、環境問題への意識の高まりとともに、「衣類を捨てるのではなく、資源として活かす」という考え方が広がっており、繊維リサイクルはその中心的な取り組みとなっています。

繊維リサイクルの対象となるもの

繊維リサイクルの対象となるのは、主に以下のようなアイテムです。

 

  • ・売れ残った在庫品(新品のまま)
    シーズンが終わった商品やサンプル品など、状態が良くても販売が難しいもの。
  • ・古着や使用済みの衣類
    一般消費者から回収された衣類も、状態や素材によって再利用や資源化が可能です。
  • ・タオル・寝具・カーテンなどの布製品
    衣類以外にも、綿や化学繊維などで作られた布製品全般が対象になります。
  • ・製造時に出る布の端材や裁断くず
    アパレル製造工程で出る切れ端やミスプリントの生地なども、再資源化できる貴重な材料です。

 

ただし、油や汚れがひどいもの、濡れているもの、異素材が複雑に混ざっているものなどは、リサイクルが難しい場合があります。リサイクルできるかどうかは、素材の種類や状態、そして受け入れ先のリサイクル業者の対応によっても変わってきます。

 

まずは「これも資源になるかもしれない」という視点で、廃棄せずに確認することが第一歩です。

繊維リサイクルの種類

繊維リサイクルには、素材や状態に応じていくつかの方法があります。ここでは主に使われている3つのリサイクル方法を、わかりやすく解説します。

ケミカルリサイクル(化学的リサイクル)

ケミカルリサイクルとは、衣類などの繊維を化学の力で原料レベルまで分解し、再び新しい素材として生まれ変わらせる方法です。たとえばポリエステル製の服を分解して、もう一度ポリエステルの原料に戻し、新しい布や衣類をつくるといったイメージです。

 

この方法は、高品質な再生素材を作ることができるのが大きな特徴です。ただし、高度な技術や専用の設備が必要なため、導入している企業はまだ限られており、コストもやや高めです。

マテリアルリサイクル(物理的リサイクル)

マテリアルリサイクルは、繊維を細かく砕いたり、ほぐしたりして素材として再利用する方法です。たとえば、古い服を再加工して以下のような製品に変えることができます。

 

  • ・掃除用のウエス(布きれ)
  • ・車の内装材や断熱材
  • ・フェルト状の製品

 

ケミカルリサイクルほど高度な処理は行わないため、比較的導入しやすく、多くのリサイクル現場で活用されています。ただし、元の素材によっては繊維が短くなり、新しい衣類には再利用しにくいこともあります。

サーマルリサイクル(熱回収)

サーマルリサイクルは、リサイクルが難しい衣類を焼却し、そのときに出る熱エネルギーを利用する方法です。たとえば、その熱でお湯を沸かしたり、発電に使ったりすることができます。

 

「リサイクル」とはいえ、実際にはモノとして再利用するわけではなく、最終的に燃やしてしまうため、環境への影響(CO₂排出など)もあります。そのため、できる限りケミカルやマテリアルによるリサイクルが優先されることが多いです。

繊維リサイクルのメリット

繊維リサイクルには、アパレル企業にとっても社会全体にとっても、多くのメリットがあります。ただ在庫を処分するだけでなく、リサイクルという選択をすることで、以下のような前向きな効果が期待できます。

1. 環境への貢献

リサイクルすることで、焼却や埋め立てによるCO₂の排出や資源の無駄遣いを防ぐことができます。環境にやさしい企業としての取り組みは、SDGsやESGといった社会的評価にもつながります。

2. ブランド価値の向上

「環境に配慮した企業」というイメージは、消費者からの信頼を高める要素になります。特に近年はサステナブルな選択を重視する顧客が増えており、繊維リサイクルへの取り組みはブランドの差別化にもなります。

3. 循環型ビジネスへの第一歩

繊維リサイクルは、製品を「作って・売って・捨てる」だけの一方通行から、「資源として再利用する」循環型の仕組みへの第一歩です。サステナブルなビジネスモデルの土台としても注目されています。

繊維リサイクルが必要とされる環境背景

なぜ今、繊維リサイクルが求められているのでしょうか? その背景には、アパレル業界が抱える「環境負荷の大きさ」があります。

大量生産・大量廃棄の構造

ファッション業界では、トレンドの移り変わりが早く、それに合わせて大量の衣類が作られています。その一方で、売れ残った商品や不要になった衣類の多くが、まだ使える状態でも処分されています。

 

国内だけでも、年間100万トン以上の衣類が廃棄されていると言われており、その多くが焼却や埋め立てによって処理されています。

焼却による環境への影響

繊維製品を焼却すると、CO₂などの温室効果ガスが発生します。これは地球温暖化を加速させる原因のひとつです。また、焼却できない素材が埋め立てられることで、土壌や水質への影響も懸念されています。

資源の枯渇

衣類の原料となる綿や石油由来の化学繊維は、地球上の限られた資源です。繊維リサイクルを進めることで、こうした資源の消費を抑え、将来世代にも資源を残すことができます。

繊維リサイクルの課題

繊維リサイクルは環境にも企業にもメリットが多い取り組みですが、実際に始めようとするといくつかのハードルにぶつかることがあります。ここでは、アパレル企業が繊維リサイクルを進めるうえで代表的な3つの課題について、わかりやすく解説します。

素材ごとの取り分けが難しい

衣類や布製品には、さまざまな素材が使われています。綿(コットン)やポリエステル、ナイロン、ウールなどが混ざった「混紡(こんぼう)素材」の衣類が多く、これらをきれいに分けてリサイクルするのはとても難しい作業です。

 

たとえば、ポリエステルだけをリサイクルするには、他の素材が混ざっていない状態でなければなりません。そのため、素材を見分けて分類する「手間」と「時間」がかかり、自動化もしづらいのが現状です。

二次流通によるブランド毀損

リサイクルの過程で、回収された衣類が万が一市場に流通してしまうと、企業にとって大きなリスクになります。とくに新品在庫やサンプル品など、ブランド名が明記されたまま出回ると「安く売られている=価値が下がった」と見なされ、ブランドイメージを損なう恐れがあります。

 

また、適切に処理されていない中古品が、偽造品と間違われるリスクもあります。そのため、タグの処理や解体作業、情報管理の体制をしっかり整えることが必要です。

繊維リサイクルにかかるコストが高い

繊維リサイクルは環境にやさしい取り組みである一方、リサイクル会社に依頼するための費用負担がネックとなり、導入に踏み切れない企業も少なくありません。

 

「環境のためにリサイクルしたい」という思いがあっても、実際にリサイクル会社に依頼するには多方面での費用が発生するため、アパレル企業にとっては大きなハードルになっています。

 

コストを抑えながら、ブランドイメージを守りつつリサイクルを実現するためには、信頼できるリサイクル会社との連携が不可欠です。

Shoichiは繊維リサイクルの課題を解決しながらリサイクルが可能!

Shoichiでは、アパレル企業が抱える繊維リサイクルのハードルをクリアするため、以下のような体制を整えています。

 

  • ・ブランドタグを1点ずつ手作業でカットし、二次流通を完全に防止
  • ・守秘義務契約の徹底と、社内セキュリティ管理の強化
  • ・広大な自社倉庫と、年間600トン規模の処理能力
  • ・リサイクル証明書の発行により、透明性のある処理プロセスを保証
  • ・リサイクル可能な在庫を原料として買い取るため、廃棄コストの削減も実現

 

「繊維リサイクルに取り組みたいが、どう始めていいかわからない」
「ブランド価値を守りながら、在庫を処分したい」

 

そんなお悩みをお持ちのアパレル企業様は、ぜひShoichiにご相談ください。初めての方にもわかりやすく、安心してお任せいただける体制でお応えいたします。

Shoichiにおける服のリサイクル方法と流れ

Shoichiでは、アパレル製品のリサイクルを安心してお任せいただけるよう、以下のプロセスに基づき丁寧に作業を進めています。

1. 衣類の引き取り

まずは事前にお客様とお打ち合わせを行い、リサイクル対象となる商品やその物量について詳しくヒアリングします。その後、Shoichiがトラックと必要な人員を手配し、商品を回収いたします。

 

回収に使用するトラックには、環境に配慮した「エコトラック」を採用。低公害車(天然ガス車やハイブリッド車)を使用することで、環境への負荷を軽減する取り組みも行っています。

 

回収した商品は、ブランドごとにエリアを分けて厳密に管理し、混在や取り違えが起こらないよう徹底しています。

2. 解体作業の実施

回収した衣類は、自社工場にてシャツ、パンツ、アウターなど種類ごとに仕分けし、解体作業を行います。この際、商品の「タグ」(ブランドタグ・洗濯表示タグなど)は1点ずつ手作業で確実に切り取ります。

 

タグの完全な除去を行うことで、商品が二次流通に流れる心配を完全に排除し、ブランド価値を守るリサイクルが可能です。

 

さらに、守秘義務に関する契約書の締結や、スタッフへの情報セキュリティ教育も万全です。例えば、メーカー名やブランド名は暗号化されたコードで管理し、特定の権限を持つスタッフ以外が情報にアクセスできない仕組みを構築しています。

3. 加工業者でのリサイクル処理

解体と仕分けが完了した衣類は、種類別に協力会社へと送られ、繊維リサイクルが行われます。この時点でも、Shoichiが管理の手を緩めることはありません。すべての商品タグは事前に取り除かれており、二次流通のリスクが一切ない状態で協力会社へ引き渡します。

 

協力会社では、再生ウールやフェルト製品など、新たな素材として生まれ変わるための加工が行われます。

4. リサイクル結果のご報告

リサイクルの全工程が完了した後は、ブランドやメーカー様にリサイクル結果をご報告いたします。処理された衣類がどのように資源化されたのかを明確にするため、「リサイクル証明書」を発行。

 

この証明書により、解体や資源化の詳細が確認できるだけでなく、透明性のあるリサイクルを実現します。