ファストファッションは、「安く」「早く」「多く」を実現することで、誰もが気軽におしゃれを楽しめるようになりました。しかしその裏では、大量生産・大量廃棄による環境負荷や、労働環境・資源問題など、多くの課題が浮き彫りになっています。

 

こうした状況の中で、近年は多くの企業が「サステナブルなファッション」へと舵を切り始めています。

 

本記事では、ファストファッションの問題解決に向けて動く企業の最新事例を紹介しながら、業界がどのように変わり始めているのかを分かりやすく解説します。

 

ファストファッションとは

ファストファッションとは

ファストファッション」とは、流行をいち早く取り入れたデザインの服を、低価格かつ大量に生産・販売するファッションの形態を指します。英語の“Fast(速い)”が意味するように、デザインから店頭に並ぶまでのスピードが非常に速いのが特徴です。

ファストファッションの特徴

ファストファッションの大きな特徴は次の3点です。

 

  • ・低価格・大量生産
    生産拠点を人件費の安い国に置き、効率的な製造工程を整えることで、トレンド性の高い服を安く大量に販売できるようにしています。
  • ・短い商品サイクル
    数週間ごとに新しいデザインが登場し、シーズン中でも次々と入れ替わります。そのため、いつ行っても「新しい服がある」状態が保たれています。
  • ・幅広い消費者層へのアプローチ
    価格が手頃なため、10代〜30代を中心に多くの人が気軽に購入できます。ファッションを通じて自己表現を楽しむ人々のニーズに応える存在です。

 

一方で指摘される課題

手軽におしゃれを楽しめる一方で、ファストファッションには環境・社会面の課題もあります。例えば、服の生産過程で発生するCO₂排出や水資源の大量消費、また使用済み衣類の大量廃棄問題などが代表的です。

 

こうした問題から、近年では「ファストファッションの次のあり方」として、サステナブルファッション循環型ファッションへの転換が求められています。

ファストファッション問題に取り組む企業

ファストファッション問題に取り組む企業

ここでは、ファストファッションがもつ課題に向き合い、取り組みをおこなう企業について、以下の3つのジャンルに分けてご紹介します。

 

  • ・在庫・廃棄を減らす企業の取り組み
  • ・長く使うを後押しする取り組みを行う企業
  • ・回収・再流通の基盤づくりをおこなう企業

 

多くの企業がサステナブルなファッションの実現に向けて動き出していますが、この記事では一部の事例をピックアップしています。それぞれの企業がどのようにファッション業界の課題に挑んでいるのか、ぜひチェックしてみてください。

在庫・廃棄を減らす企業の取り組み

ファッションにおける環境問題を解決するためには、アパレル企業の在庫・廃棄を減らす取り組みが欠かせません。ここでは廃棄衣類削減のために取り組む企業についてど紹介します。

Shoichi(ショーイチ)

Shoichiは、「リサイクルで日本の廃棄費用をゼロに。」を掲げるアパレルリサイクル企業です。余剰在庫を回収し、タグ除去 → 解体 → 再資源化までを一貫して行います。

 

この過程では、ブランドロゴやタグを1点ずつ手作業で除去するため、二次流通によるブランド毀損を防止。さらに、リサイクルが完了した段階で「リサイクル証明書」を発行し、処理の透明性を確保しています。

 

また、Shoichiは在庫をリサイクル原料として買い取る仕組みを持っており、「コストがかかるからリサイクルできない」という企業の悩みを根本から解決可能です。小ロットから大規模案件まで対応可能な体制を整え、アパレル業界全体の循環型モデルを支えています。

 

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BRING

日本環境設計は、不要になった衣類を回収し、化学リサイクルによって再び服の原料に戻す仕組みを構築しています。「BRING」ブランドを通じて、ポリエステル製品を再生ポリエステルへと循環させることに成功。

 

ユニクロや無印良品など、国内外のアパレル企業と連携し、資源を最後まで使い切る仕組みづくりをリードしています。

 

参考:BRING

H&M

H&Mは、世界規模で店頭に衣類回収ボックスを設置しており、不要になった服を回収しています。集まった衣類は、再利用・再生・エネルギー回収の3つに分類され、それぞれの状態に応じて再活用。

 

この仕組みは誰でも気軽に参加できる回収モデルとして定着し、ファストファッションブランドが循環を実現する先駆けとなりました。

 

参考:H&M

ユニクロ / GU(ファーストリテイリング)

ユニクロとGUは「届けよう服のチカラ」プロジェクトとしてリサイクル・再資源化を推進しています。ダウンジャケットの羽毛回収や、フリースなどの再生素材化を進め、資源の循環利用を実現。

 

「服を売って終わり」ではなく、使い終わった後の責任も果たすブランドとして進化しています。

 

参考:ユニクロ

 

長く使うを後押しする企業の取り組み

ファッションの大量消費を抑えるためには、「買って終わり」ではなく、“長く着続ける”文化を育てることが欠かせません。

 

最近では、修理や再販売、リメイクといった形で、服を長く使えるよう支援する企業が増えています。こうした取り組みは、資源の浪費を防ぐだけでなく、モノを大切にする価値観を社会に広めることにもつながっています。

Patagonia

Patagoniaは、創業時から修理して長く着る文化を重視しています。「Worn Wear」プログラムでは、修理・再販売・メンテナンス情報の提供を通じて、製品を長持ちさせるためのサポートを実施。

 

「新品を買うより、直して着る」という行動を促すこの仕組みは、持続可能なファッションの象徴とされています。

 

参考:Patagonia

無印良品(良品計画)

無印良品では、使用済みの服を回収し、染め直して再販売する「ReMUJI」プロジェクトを展開。さらに、店舗ではボタン交換や裾直しなどの修理サービスも提供し、「買い替える前に直す」文化を広げています。

 

こうした取り組みは、服の寿命を延ばす=廃棄を減らすことにつながっています。

 

参考:無印良品

Goldwin

アウトドアブランドのGoldwinは、製品の使用環境が過酷であることから、修理・メンテナンス体制を常設化THE NORTH FACEでは、破損や劣化のある製品を有償で修理する仕組みを整え、一着を長く使うサポートを行っています。

 

これにより、企業としての耐久性・信頼性・環境意識を同時に高めています。

 

参考:Goldwin

回収・再流通の基盤づくりをおこなう企業の取り組み

服を捨てずに循環させるには、回収から再利用・再販までの仕組みづくりが重要です。企業や自治体、リユース企業が連携し、不要になった衣類を集めて次の使い手につなげる仕組みが広がりつつあります。

 

こうした「回収のインフラ」を整えることで、ファッション業界全体が廃棄を出さない構造へとシフトしています。

Colors

Colorsは、地域や商業施設と連携し、衣類の回収・選別・再販ルートを整備するリユース企業です。アパレルブランドや自治体と協力して回収イベントを実施し、不要になった服を「資源」として再び市場に戻す仕組みを構築しています。

 

特に中小ブランドやセレクトショップのリサイクル導線構築を支援するなど、回収のインフラ化に貢献しています。

 

参考:Colors

古着deワクチン

「古着deワクチン」は、家庭で不要になった服を専用キットで送るだけで、寄付とリサイクルが同時にできるサービスです。衣類は国内外で再販売・再利用されるほか、送ることで発展途上国の医療支援(ワクチン寄付)にもつながります。

 

「捨てる」ではなく「誰かのために活かす」という新しい価値観を広げており、企業のCSR活動との親和性も高い取り組みです。

 

参考:古着deワクチン

ファストファッションの未来は循環と共創で変えられる

Shoichiサスティナブル概要

ファストファッションの課題は、決して一企業だけで解決できるものではありません。しかし、在庫や廃棄を減らすShoichiリサイクル素材を再生するBRING長く使う文化を広げるPatagoniaや無印良品など、さまざまな企業がそれぞれの強みを生かし、持続可能なファッションの形を模索しています。

 

こうした取り組みは、単なる環境対策ではなく、新しい価値を生むビジネスモデルの再構築でもあります。

 

「安く早く消費する」から、「大切に長く使い、再び循環させる」へ。業界全体が少しずつでも方向転換を進めていくことで、ファッションの未来はより豊かなものへと変わっていくでしょう。

 

Shoichiでは、アパレル企業が抱える在庫・廃棄・リサイクルの課題に寄り添いながら、サステナブルな生産と循環の仕組みづくりをサポートしています。「環境にもブランドにも配慮した在庫処理をしたい」「持続可能な取り組みを始めたい」という企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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