近年、「エシカルファッション」という言葉を耳にする機会が増えました。環境や人権、社会に配慮した服づくりや消費のあり方を指します。

 

この記事では、エシカルファッションの意味・10の基準・国内外の実例をわかりやすく解説します。 「どんなブランドが取り組んでいるの?」「自分にもできることはある?」と気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

エシカルファッションとは

エシカルファッションとは

エシカルファッションとは「人・社会・環境に配慮した服づくり」 を意味する考え方です。エシカル(ethical)”には「倫理的な」「道徳的な」という意味があり、単におしゃれを楽しむだけでなく、服が作られる背景や地球への影響にも目を向けようという動きです。

 

たとえば、

 

  • 服をつくる人の労働環境を守る(フェアトレード)
  • 自然環境を汚さない素材・染色方法を選ぶ
  • 動物由来の素材を使わない(ヴィーガンファッション)

 

など、製造から販売、着るまでのすべての過程を重視します。

 

この考え方は、2010年代以降、ファストファッションによる環境問題や人権問題が注目される中で広まりました。今では、世界中のアパレル企業がエシカルな取り組みを進めています。

サステナブルファッションとの違いは?

「サステナブルファッション」とは、環境への負荷を減らし、長く持続可能なファッションを目指す という考え方です。

 

つまり、エシカルファッションが人や社会にも優しいファッションであるのに対し、サステナブルファッションは地球環境にやさしいファッションという側面がより強調されます。

 

  • エシカルファッション:人権・動物・社会への倫理的配慮を重視
  • サステナブルファッション:資源・環境・気候変動などへの配慮を重視

 

この2つは異なる概念ですが、方向性は共通しています。どちらも「未来の世代に負担をかけない服づくり」を目指しており、現在では一体的に使われることも多くなっています。

エシカルファッションの10の基準とは

エシカルファッションの10の基準とは

「Ethical Fashion Forum」が定義するエシカルファッションの10の基準は、人・社会・環境のすべてに配慮したファッションづくりを実現するための指針です。

 

以下では、その内容をわかりやすく紹介します。

 

  • ・ファストファッションへの反対
     安価で大量生産・大量消費される「使い捨て型ファッション」ではなく、長く着られる服を選ぶことを重視します。
  • ・労働者の賃金・権利・環境を守る
     生産に関わるすべての人が安全で公正な環境で働けるよう、労働条件の改善を目指します。
  • ・持続可能な生活の支援
     地域の雇用を守り、持続可能な経済活動を通じて生産者の生活を安定させることを大切にします。
  • ・有害な化学物質の削減
     染料や素材に使われる有毒な農薬・化学薬品を減らし、自然環境と人の健康を守ります。
  • ・環境にやさしい素材の使用・開発
     オーガニックコットンや再生繊維など、地球に負担をかけない素材を積極的に採用します。
  • ・水資源の保護
     染色や洗浄の過程で使う水を最小限にし、水質汚染を防ぐ技術や仕組みを導入します。
  • ・リサイクル・省エネ・廃棄削減への取り組み
     製造や物流の段階でリサイクルやエネルギー効率化を進め、ゴミや包装の無駄を減らします。
  • ・ファッションの持続可能性を促進
     環境負荷を減らしながらファッションを楽しむ方法を開発し、業界全体で共有・発展させます。
  • ・情報開示と社会への発信
     自社の取り組みを報告し、透明性を持って解決策や成功事例を広めていく姿勢を重視します。
  • ・動物の権利を守る
     毛皮やダウンなど動物由来の素材の使用を見直し、動物福祉に配慮した素材を選びます。

エシカルファッションが生まれた背景

エシカルファッションが生まれた背景

「エシカルファッション(Ethical Fashion)」という考え方が注目されるようになったのは、2000年代以降。
背景には、ファストファッションの急速な拡大と、それに伴う環境・人権問題の深刻化があります。

 

ここでは、エシカルファッション誕生のきっかけとなった4つの要因を見ていきましょう。

ファストファッションの拡大と環境問題の深刻化

2000年代以降、ファストファッションが世界中に広まりました。低価格でトレンドを素早く取り入れられる一方で、服の大量生産・大量廃棄が進行。環境省の調査によると、日本では年間82万トンの衣類が供給され、そのうち約56万トンが廃棄されています(2024年度データ)。

 

このように、ファッション業界は今や石油産業に次いで2番目に環境負荷の高い産業ともいわれるようになりました。水質汚染・CO₂排出・マイクロプラスチック問題などが顕在化し、業界全体の見直しが求められるようになったのです。

劣悪な労働環境や人権問題への懸念

2013年、バングラデシュで起きたラナ・プラザの縫製工場崩落事故(死者1,100人超)は、世界に衝撃を与えました。「安い服の裏で、誰かが苦しんでいる」この事件をきっかけに、ファッション業界の労働環境や人権問題が注目されるようになります。

 

低賃金・長時間労働・児童労働といった実態が報道され、多くの消費者が「服を選ぶこと=社会を選ぶこと」だと意識し始めました。

 

こうした流れから、倫理的な生産体制を重視するエシカルファッションの理念が広がっていきます。

消費者の意識変化とサステナビリティ志向の高まり

SNSの普及もあり、消費者は企業の姿勢や製造過程に目を向けるようになりました。「安ければいい」から「環境や社会に配慮した商品を選びたい」へ、購買行動そのものが変化しています。

 

企業側も、このような価値観に対応するために、環境配慮型素材の採用やリサイクルの取り組みを進めています。

エシカルファッションへの企業の取り組み例

エシカルファッションへの企業の取り組み例

エシカルファッションは、すでに多くの企業が積極的に取り入れています。

 

ここでは、環境・社会に配慮した取り組みを行う国内外の企業を紹介します。

Shoichi(ショーイチ)|余剰在庫のリサイクルで“廃棄ゼロ”を目指す

Shoichiは「リサイクルで日本の廃棄費用をゼロに。」を掲げ、アパレル在庫の再資源化を推進する企業です。

 

ブランドやメーカーから余剰在庫・展示品を回収し、解体・再生・リサイクルを一貫して実施。タグ除去やリサイクル証明書の発行により、ブランド価値を守りながら環境負荷を減らす仕組みを確立しています。

 

さらに、従来コストだった廃棄処理を「買い取り」という形で行うことで、企業にとっても経済的なメリットを実現。「環境に配慮しながら在庫を適正処理したい」という企業の課題に、実務面と経営面の両方からサポートを行っています。

 

循環型ファッション(サーキュラーファッション)の実現にもつながる実践的な取り組みとして、多くのアパレル企業様に連携させていただいています。

 

Shoichiへのお問い合わせはこちら

 

Patagonia(パタゴニア)|環境保護を企業理念の中心に据える

アウトドアブランドのPatagonia(パタゴニア)は、1973年の創業以来、環境保護活動を企業理念の中核に据えています。
製品にはリサイクル素材やオーガニックコットンを積極的に採用し、Repair(修理)・Reuse(再利用)・Recycle(再生)を促すプログラム「Worn Wear」を展開。

 

さらに、売上の1%を環境保全活動に寄付する「1% for the Planet」を共同設立するなど、企業としての社会的責任を世界的にリードしています。

 

参考:Patagonia

H&M|リサイクル回収とサステナブル素材への転換

スウェーデン発のH&Mは、ファストファッションの代表格でありながら、業界の環境負荷軽減に向けた取り組みを先進的に進めています。店舗での衣類リサイクル回収ボックス設置をいち早く導入し、古着を再利用・再生するサイクルを確立。

 

また、2030年までに全製品をサステナブル素材で作ることを目標に掲げ、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなど、環境負荷の低い素材への転換を進めています。

 

参考:H&M

無印良品(良品計画)|服の回収と再生プロジェクトの推進

日本を代表するブランド無印良品(良品計画)は、「感じ良い暮らし」をテーマに、持続可能な社会づくりに積極的です。店舗での衣類回収を行い、集めた服を再利用・リサイクル素材として再生する「ReMUJIプロジェクト」を実施。

 

さらに、リペア(修繕)サービスの提供や、オーガニックコットン100%素材への切り替えなど、「長く使う」「作りすぎない」という視点でエシカルファッションを推進しています。

 

参考:無印良品

スノーピーク|自然と共生するライフスタイルを提案

アウトドアブランドのスノーピーク(Snow Peak)は、「自然と人、人と人をつなぐ」ことを企業理念としています。自社製品のリペアサービスやリサイクル素材の活用に加え、キャンプ場や地域づくりなどを通じて自然と共に生きるライフスタイルを提案

 

大量生産・大量消費とは異なる価値観を発信し、エシカルで心豊かな暮らし方を社会に広めています。

 

参考:スノーピーク

エシカルファッションのために私たちにできること

エシカルファッションのために私たちにできること

エシカルファッションは、特別なことをしなければ実現できないわけではありません。私たち一人ひとりの小さな行動、そして企業の責任ある取り組みの積み重ねが、人にも地球にもやさしいファッション”を未来へつなげます。

 

ここでは、個人編企業編に分けて、今日から実践できるアクションを紹介します。

【個人編】日常の中でできる小さな一歩

私たちが身近にできることは、意外とたくさんあります。買い物や服の扱い方を少し見直すだけで、環境負荷を減らすことができます。

 

  • ・長く着られる服を選ぶ
     流行や価格だけでなく、「素材」「縫製」「手入れのしやすさ」に目を向けましょう。丈夫で長持ちする服を選ぶことは、廃棄を減らす最もシンプルな方法です。

 

  • ・サステナブルブランドを応援する
     環境配慮素材や公正な生産体制を採用しているブランドを選ぶことも立派な支援です。購入という行動が、企業のサステナブルな姿勢を後押しします。

 

  • ・不要になった服を正しく手放す
     まだ着られる服は寄付・リユースへ。傷みがある服は、自治体の資源回収やリサイクルボックスに出しましょう。“捨てる”ではなく“つなぐ”意識が、循環型社会への第一歩です。

 

このように、ひとつひとつの行動は小さくても、積み重ねることで大きな変化を生み出します。「長く大切に着る」ことが、最も身近で確実なエシカルな選択です。

【企業編】サプライチェーン全体での責任ある行動

企業にとっても、エシカルファッションは「社会貢献」だけではなく「経営戦略」の一部です。環境・人権・品質のすべてを考慮した行動が、ブランドの信頼につながります。

 

  • ・適正な生産と在庫管理の徹底
     過剰生産は廃棄問題の最大要因。需要予測や在庫コントロールを見直すことで、
     無駄な廃棄を減らし、コスト削減にもつながります。

 

  • ・余剰在庫のリサイクル・リユース
     在庫処分=廃棄ではありません。再販・資源化・寄付など、さまざまな再活用の選択肢があります。Shoichiのような専門企業を活用すれば、ブランド価値を守りながら環境にも貢献できます。

 

  • ・サステナブル素材・製造工程の導入
     オーガニックコットンやリサイクル繊維を採用したり、製造工程での水・エネルギー消費を見直したりすることが重要です。小さな改善の積み重ねが、業界全体の変化を生み出します。

 

  • ・消費者への情報発信と啓発
     自社の取り組みを発信し、消費者にエシカルな選択を促すことも企業の責任です。透明性のある情報開示は、信頼を築くうえで欠かせません。

アパレルのリサイクルのお悩みならShoichiにお任せください!

Shoichiサスティナブル概要

「在庫をどう処理すればいいかわからない」「環境配慮に取り組みたいけれど、コストや手間が心配」そんなお悩みを抱えるアパレル企業様は、ぜひShoichiにご相談ください。

 

Shoichiは、「リサイクルで日本の廃棄費用をゼロに。」を掲げ、アパレル業界の在庫・廃棄課題を根本から解決する企業です。

1. 在庫を“廃棄”から“資源”へ

Shoichiでは、不要になった衣類や余剰在庫を買い取りまたはリサイクル原料として再利用しています。廃棄コストを抑えつつ、リユース・リサイクルによって資源を循環させることが可能です。

 

これにより、環境への配慮と経済的メリットを両立しながら、 廃棄しないファッションビジネスへの一歩を踏み出せます。

2. ブランド価値を守る安全な処理体制

「在庫処理でブランドイメージが損なわれるのでは…」という不安にも対応。Shoichiは、タグ除去や仕分けを自社工場で徹底的に管理し、再販リスクを防いだ上でリサイクル処理を行います。

 

さらに、処理完了後にはリサイクル証明書を発行。透明性のある取り組みを、取引先や消費者に向けて発信することも可能です。

3. 年間600トン以上の処理実績。小規模から大規模まで対応

Shoichiは、年間600トン以上のアパレル在庫を処理する実績を持ち、全国のブランド・メーカーから信頼を得ています。小ロットから大規模在庫まで柔軟に対応し、緊急対応や継続的なサステナブル支援も行っています。

4. 今ある課題から、サステナブルな第一歩を

ファッション業界全体が循環型社会を目指す今、「まずは在庫のリサイクルから始めたい」という企業が増えています。Shoichiなら、コスト面・運用面・ブランド面のすべてを考慮し、企業に最適なサステナブルソリューションを提案します。

 

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