近年、ファッション業界が抱える「服と環境問題」に注目が集まっています。

 

衣類は大量の水やエネルギーを消費して作られ、着られなくなった服の多くは焼却や埋め立て処分されることで、地球温暖化や資源枯渇を加速させています。

 

しかし、環境負荷を減らす取り組みは企業だけでなく、私たち一人ひとりができることもたくさんあります。この記事では、服の環境問題とは何かを整理しながら、個人や企業が実践できる具体的なアクションをわかりやすく解説します。

服の環境問題が与える影響

服の環境問題が与える影響

衣類の素材から製造、使用、廃棄に至るまでの流れには、目に見えない環境コストが含まれています。以下では、具体的な影響をデータとともに見ていきましょう。

大量の水やエネルギー資源の消費

服の生産には多くの水とエネルギーが必要です。環境省の推計では、衣類の生産に必要な水の量は年間83.8億m³

 

これは、日本の人口一人あたりに換算すると1年でお風呂約4万杯分に相当するほどの規模です。

 

また、綿の栽培や染色の工程では特に水を大量に使い、服1着あたり約2,368リットルの水が必要とされています。さらに、製造工程全体で膨大なエネルギーが使われており、資源消費の観点からも大きな問題となっています。

 

参照:環境省「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」報告書

CO₂排出による地球温暖化の加速

衣類の生産から廃棄までの全過程で排出されるCO₂は、国内供給分だけでも約9.7百万トンにのぼります。これは、日本全体のCO₂排出量の約0.8%に相当します。

 

世界全体で見ると、 日本国内ファッション産業は温室効果ガス排出量の約4〜8%を占めており、地球温暖化を進める大きな要因のひとつとされています。

 

参照:環境省「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」報告書

海洋汚染・マイクロプラスチック問題

合成繊維の衣類を洗濯すると、目に見えない細かな繊維片が剥がれ落ちます。これが「マイクロプラスチック」と呼ばれるもので、下水処理でも完全に取り除けず、そのまま川や海に流れ込みます。

 

マイクロプラスチックは海洋生物の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて人間にも影響を与える可能性が指摘されています。つまり、私たちが着る服は、間接的に自分たちの健康にも返ってくるのです。

廃棄物処理による土地や環境への負荷

日本国内では、年間約51万トンの衣類が焼却や埋立によって処分されています。焼却によって新たなCO₂が発生するだけでなく、埋立によっては土壌や地下水への影響も心配されています。

 

また、廃棄物の増加は埋立地の逼迫にもつながり、長期的には「処分する場所がなくなる」という問題も現実味を帯びています。

 

参照:環境省「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」報告書

【個人編】服の環境問題に対して私たちができること

【個人編】服の環境問題に対して私たちができること

服の大量生産や大量廃棄は、環境に深刻な負荷を与えています。しかし、これは企業だけの問題ではなく、消費者である私たち一人ひとりの行動も大きなカギを握っています。

 

ここでは、日常生活の中でできる取り組みを紹介します。

長く着られる服を選ぶ

安さや流行だけで選ぶのではなく、「長く着られるかどうか」を意識して服を選ぶことが大切です。

 

丈夫な素材やシンプルなデザインの服は、流行に左右されにくく、長期間活用できます。結果的に買い替えの頻度が減り、資源の無駄遣いを防ぐことにつながります。

セカンドハンド・リユースを活用する

古着屋やリユースショップ、フリマアプリを活用するのもおすすめです。すでにある服を再利用することで、新しい服を生産する際に発生する水やエネルギーの消費を減らせます。

 

また、最近はオシャレな古着や一点もののアイテムも増えており、ファッションを楽しみながら環境配慮ができます。

不要な服はリサイクルや寄付へ

着なくなった服をただ捨ててしまうのではなく、リサイクルボックスや自治体の回収に出したり、NPOや団体への寄付を検討してみましょう。

 

資源として再利用されたり、必要としている人に届くことで、廃棄を減らすことができます。

サステナブルなブランドを選択する

最近では、環境に配慮した素材や製造方法を取り入れているサステナブルブランドも増えています。オーガニックコットンや再生繊維を使った商品を選んだり、認証マーク(例:GOTS認証、フェアトレード認証)があるブランドを選ぶのも効果的です。

 

消費者が選択することで、企業の取り組みを後押しすることにつながります。

【企業編】服の環境問題に対してアパレル企業ができること

【企業編】服の環境問題に対してアパレル企業ができること服の大量生産・大量廃棄は、環境に大きな影響を与えています。アパレル企業は、持続可能なビジネスを続けていくためにも、環境に配慮した取り組みを積極的に行うことが求められています。

 

こでは、その代表的な取り組みを紹介します。

適正な生産量で在庫を抑える

売れる数を見極めずに大量生産すると、在庫が余り、結果的に廃棄につながります。需要予測を精密化したり、予約販売や小ロット生産を取り入れることで、余剰在庫を抑えることができます。

 

これは廃棄を減らすだけでなく、コスト削減にも直結します。

余剰在庫のリサイクル・リユース化

どうしても発生してしまう余剰在庫は、そのまま廃棄せず、リサイクルやリユースへ回すことが重要です。素材ごとに分別して資源として再利用したり、寄付やアウトレット販売などで新たな価値を生み出すことも可能です。

 

これにより、環境負荷を減らしつつ、ブランドの社会的評価も高められます。

サステナブル素材や製法の採用

オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなど、環境負荷の少ない素材を使う企業が増えています。また、製造過程での水や化学薬品の使用を抑える技術の導入も有効です。

 

サステナブルな素材や製法を採用することで、商品そのものの付加価値が高まり、消費者の選択理由にもなります。

消費者参加型の回収プログラム

企業単独で取り組むだけでなく、消費者と一緒に取り組む仕組みも効果的です。たとえば、不要な衣類を店舗で回収し、リサイクルにつなげるプログラムは、多くのブランドが導入しています。

 

回収に協力してくれた消費者に割引クーポンを配布するなど、参加を促す工夫も広がっています。

SDGs・環境配慮の発信

取り組みを実行しても、消費者に知られなければ意味がありません。企業の公式サイトやSNSで取り組み内容を発信することは、ブランド価値を高めるだけでなく、消費者に「環境に配慮した商品を選ぼう」という意識を促すきっかけにもなります。

 

透明性のある発信は、信頼の獲得にもつながります。

アパレル製品・服のリサイクルでお困りの企業はShoichiにお任せください

Shoichiイメージ

アパレル企業の多くが「リサイクルに取り組みたい」と考えている一方で、実際には次のような理由からなかなか踏み出せない現状があります。

 

  • ・リサイクルにコストがかかりすぎる
    在庫を処分するだけで費用がかさみ、環境対策に予算を割けない。
  • ・ブランド価値が傷つくリスクがある
    在庫がそのまま二次流通に流れてしまい、「ブランド品が安売りされる」といった懸念がある。
  • ・どこに頼めばいいかわからない
    信頼できるリサイクル先が見つからず、結局は廃棄せざるを得ない。

 

こうした課題に対応できるのが Shoichiのリサイクルサービス です。

1. コスト負担を軽減できる「買取型リサイクル」

Shoichiでは、不要になった在庫を「原料」として買い取ります。これにより、従来は“廃棄コスト”としてかかっていた費用を削減でき、リサイクルを現実的に進められる仕組みを整えています。

2. ブランドを守る徹底した管理体制

回収した衣類は自社工場で仕分けされ、ブランドタグやネームを1点ずつ手作業で除去。二次流通に流れる心配がないため、ブランド価値を損なうリスクを未然に防ぎます。

 

さらに、リサイクル後には「リサイクル証明書」を発行。透明性を持って処理内容を確認できます。

3. 大量でも小規模でも対応可能

Shoichiは5,000㎡の倉庫と年間600トンの処理能力を持ち、展示品の少量在庫からシーズンごとの大量在庫まで柔軟に対応可能です。突発的な対応が必要な場合でもスピーディにサポートします。

4. 企業の発信力強化にもつながる

Shoichiのリサイクルサービスを利用すれば、「環境に配慮した取り組みをしている」という実績を外部に発信できます。消費者や取引先に対して、透明性のある取り組みとしてアピールでき、ブランドイメージ向上にもつながります。

服の環境問題は「小さな行動」から改善できる

Shoichiリサイクルの流れ

服の環境問題は、資源の大量消費や廃棄物の増加など、私たちの生活と切り離せない課題です。

 

ただし、「長く着られる服を選ぶ」「リサイクルや寄付を利用する」といった個人の行動、そして「在庫管理の最適化」「サステナブル素材の導入」といった企業の努力によって、少しずつ改善することが可能です。

 

いきなり大きな変化を起こすのは難しくても、できることから一歩ずつ始めることが大切です。持続可能なファッションを目指す動きに参加することは、環境を守るだけでなく、未来の世代により良い社会を残すことにもつながります。