「SDGsに取り組みたいけれど、どんな事例があるの?」そんな方に向けて、日本や世界の企業が実際に行っている“面白い取り組み”をまとめました。服の回収や再資源化、循環型サービス、再生可能エネルギー活用など、すぐに参考にできる11の実例をわかりやすく紹介。自社のSDGs推進のヒントとしてぜひご覧ください。

 

日本企業のSDGsへの取り組み状況

SDGsへの取り組み状況分析

初めに日本企業のSDGsへの取り組み状況について見ていきましょう。

 

帝国データバンク(TDB)が2025年7月25日に公表した「SDGsに関する企業の意識調査(2025年)」をもとに、2020年からの推移を整理しました。

 

2025年の調査は、全国26,237社を対象に2025年6月17日〜30日に実施(有効回答10,435社)。2015年のSDGs採択以降、日本企業の姿勢がどのように変化してきたかを年次で追える、通算6回目のレポートです。まずは主要指標の年次推移をご確認ください。

 

主要指標の推移(2020〜2025年、単位:%)

SDGsに積極的 意味・重要性を理解し、取り組んでいる
2020 24.4 8.0
2021 39.7 14.3
2022 52.2 23.6
2023 53.6 27.4
2024 54.5 29.7
2025 53.3 30.2

 

出典:帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査

SDGsに取り組んでいる企業は30.2%と上昇中

まずポジティブな動きとして、実際に「取り組んでいる」企業の割合は2025年に30.2%と過去最高になりました。単なる関心から一歩進み、具体策まで到達した企業が着実に増えています。

 

たとえば、省エネ投資やリサイクル設計、働き方の見直しなど“日々の業務に落ちる施策”が浸透してきたことが背景です。

SDGsに「積極的」な企業は53.3%に微減

一方で、「SDGsに積極的(=取り組んでいる+取り組みたい)」は53.3%と、初めて前年比低下。現場では「時間・人員・予算の余裕がない」「何から始めるべきか分からない」といった声が多く、関心はあっても手が止まる“ハードル”がボトルネックになっている実態が読み取れます。

効果を実感する企業が約7割

効果実感は69.9%と高止まり。特に多かったのは「企業イメージの向上」と「従業員のモチベーション向上」です。採用・定着、人材育成、社内の一体感づくりといった非財務面の改善が先行し、結果として「売上増」「新規事業・新商品」へつながった例も一定数みられました。

 

短期KPIだけでなく、中長期の競争力(人的資本・ブランド)を底上げする効果が企業の実感として広がっています。

企業規模による差が依然として大きい

規模別では、「SDGsに積極的」割合が大企業71.1%、中小企業50.2%、小規模企業40.8%と、規模が小さいほど比率が低い傾向が続いています。とはいえ、小規模企業でも紙・電力の削減、職場の安全衛生、多様な働き方の整備など低コストで始められる領域は多いのが実情です。

 

まずは「すでにやっている良い取り組み」を棚卸し、SDGs目標にひも付けて見える化することが、社内外の共感と支援を呼び込み、次の一歩(補助金活用やパートナー連携)につながります。

SDGsに対する面白い取り組みを行なっている企業11選

SDGsに対する面白い取り組みを行なっている企業紹介

今や多くの企業がSDGsに取り組んでいますが、その方法や工夫は実にさまざまです。廃棄されるはずだった資源を循環させたり、消費者が自然に参加できる仕組みを作ったりと、独自の発想で社会課題に挑む事例が増えてきました。

 

ここでは、数ある企業の中からユニークな取り組みを行っている11社をご紹介します。

1. shoichi(ショーイチ)

shoichiは「リサイクルで日本の廃棄をゼロに。」を掲げ、アパレル業界の廃棄問題に正面から取り組んでいる会社です。アパレル企業がこれまで費用をかけて処理していた廃棄衣料を、すべてリサイクル原料として買い取り、新しい形に甦らせる仕組みを展開しています。

shoichiのリサイクル事業には大きく4つの特長があります。

 

  • 安全性:リサイクル工程を自社で一元管理するため、ブランド毀損のリスクがない
  • コストパフォーマンス:廃棄に費用をかけていたものが“売上”に変わる
  • キャパシティ:大量の依頼にも柔軟に対応可能
  • 柔軟性:スピード感を持って臨機応変に対応できる体制

 

在庫リサイクルの課題として多くの企業が抱える「ブランド毀損」や「リサイクルコスト」の懸念を、shoichiはまとめて解決できる存在です。

 

さらに、アパレル廃棄ロスの削減を目的に、100%リサイクル素材を用いたニット製品の製造・販売にも注力。環境に配慮しながらも普段使いできる価格帯とデザイン性を両立させています。また「CO₂削減プロジェクト」「TASUKEAI 0 PROJECT」など、社会的・環境的な取り組みも幅広く展開しており、企業のサステナビリティを支援するパートナーとして注目されています。

 

お問い合わせはこちら:https://shoichi.co.jp/sustainable/

2. UNIQLO(ユニクロ)

UNIQLOは、全国の店舗に設置した回収ボックスで「ユニクロ・ジーユー・プラステ」全商品の回収を行なっています。集まった衣類は状態に応じて再利用(難民・被災地への寄贈や再販)と再資源化に仕分けられ、着用が難しいものは原料化へ。

 

さらにダウン製品を回収して、新しいダウン商品へ再生する「服が、服に生まれ変わる」挑戦も推進。消費者は捨てずに店頭に持ち込むだけで参加でき、企業は回収〜再資源化〜社会貢献までを一体的に実装できます。

参考:UNIQLO「RE:UNIQLO」

3. adidas(アディダス)

adidasは、海洋プラスチックを資源化する「adidas × Parley」と、単一素材で“回収→再製造”を前提にした循環型シューズ「FUTURECRAFT.LOOP」の取り組みを行なっています。

 

素材課題(海洋ごみ)への対応と、製品設計段階から循環を組み込む姿勢を両輪で展開。大量生産ブランドとしてのスケールを活かし、啓発と実装を同時に進めています。“スポーツ×海”のムーブメント(Run for the Oceans)も継続しており、行動参加のハードルを下げる工夫も見られます。

 

参考:adidas

4. 無印良品(MUJI)

無印良品は、店頭で回収した衣類を藍や黒に再染色して再販売する「ReMUJI」や、染め直せない素材を洗い直して古着として再販売する取り組みを行なっています。さらに複数の服をつなぎ合わせて再価値化する施策も用意。

 

一点ごとに表情が異なる唯一性が購買動機になり、循環が我慢ではなく楽しさにつながる設計が特長です。店舗で循環を見える化することで、消費者の参加を日常の買い物行動に落とし込んでいます。

 

参考:無印良品「衣服リユース(ReMUJI)」 

5. Levi’s(リーバイス)

Levi’sは、デニムの仕上げ工程で水使用を大幅に減らす「Water<Less®」を展開しています。薬剤・機械・加工の工夫で“見た目や風合いを保ったまま”用水量を削減するのが要点。2019年の公表では節水30億L超・再利用15億L超を達成し、工程起点の改善が即効性を持つことを示しました。

 

自社だけでなく競合にも技術を共有するオープン姿勢も特徴で、業界全体の底上げを志向する実装型のサステナビリティといえます。

 

参考:Levi’s

6. Stella McCartney(ステラ マッカートニー)

Stella McCartneyは、菌糸体由来の代替レザー「Mylo™」を使った世界初のガーメント発表など、素材転換の実証を行なっています。動物皮革でも石油系合成皮革でもない“第三の選択肢”をハイファッションの文脈で示し、デザインとバイオ素材の協業プロセスを広く可視化。

 

量産やサプライ体制には課題が残るものの、何を選ぶかだけでなくどう作るかの議論を前に進めた点が大きな意義です。

参考:Stella

7. IKEA(イケア)

IKEAは、使い終えた自社家具をオンライン見積→店頭持込→即時クレジット還元で買い取り、店内のサーキュラー売場で再販売する「Buyback & Resell」を常設しています。

 

ユーザーは“手放す→買う”を同じブランド体験で完結でき、循環が日常化。見積の透明性とその場での還元が参加ハードルを下げ、対象カテゴリの明確化や店舗オペレーションの最適化で継続性を担保しています。

 

 参考:IKEA

8. Google(グーグル)

Googleは、2030年までに世界の拠点で“24時間365日”カーボンフリー電力(24/7 CFE)で運用する取り組みを行なっています。従来の“年間合計で再エネ100%”を超え、各時間・各地域で消費電力をクリーンな電源でマッチさせるのが要点。

 

調達だけでなく、データセンター運用の需要シフトや柔軟化も含めて進める総合アプローチです。目標と進捗、方法論は公開され、他組織の参考資料としても有用です。

 

参考:Google「24/7 by 2030」

9. Nissan(ニッサン)

Nissanは、退役EVバッテリーを再利用し、太陽光と組み合わせた送電いらずの独立電源街路灯「THE REBORN LIGHT」を展開する取り組みを行なっています。

 

送電インフラが脆弱な場所や非常時でも灯りを確保でき、復興・防災・観光など幅広い場面で応用が期待されます。EVの二次利用を社会インフラに接続する好例であり、モビリティ企業の価値拡張を示す象徴的プロジェクトです。

 

参考:日産「THE REBORN LIGHT」

 

10. JAL × 住友商事「Any Wear, Anywhere」

JAL×住友商事は、旅行者が目的地で衣類をレンタルして手荷物を減らすことで、航空機の燃料使用・CO₂排出の削減効果を検証する実証サービスを行なっています。

 

予約要件や受付期間など運用面を改善しながら継続し、環境価値の測定と余剰衣料の循環活用を同時に追求。旅行者にとっては身軽さという体験価値も得られるため、行動変容を促しやすいのが特長です。

 

参考:住友商事

11. セブン‐イレブン「エコだ値」

セブン‐イレブンは、販売期限が近いフレッシュフードを値引き=環境配慮の選択として見える化する「エコだ値」を全国で行なっています。緑色の専用シールで心理的抵抗を下げ、食品ロス削減と機会ロス抑制の両立を図るデザインがポイント。

 

2024年には消費者庁長官賞を受賞するなど社外評価も獲得し、大規模チェーンのスケールで日常の購買行動を変える実装力が光ります。

 

参考:セブン‐イレブン・ジャパン

 

企業がSDGsに取り組むメリット

SDGsに取り組むメリット

企業がSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むことは、単なる社会貢献にとどまらず、経営面にも幅広い効果をもたらします。ブランドイメージの向上や新しい顧客の獲得、社員の働きがいの向上など、短期・長期の両方で恩恵を受けられるのが特徴です。

 

ここでは、その主な6つのメリットを詳しくご紹介します。

ブランド価値・企業イメージの向上

SDGsに積極的な企業は「社会や環境を大切にしている」という好印象を持たれやすくなります。たとえば環境配慮型の商品やサービスを提供すれば、環境意識の高い消費者から選ばれる可能性が高まるでしょう。

 

長期的には、ブランドの信頼性を強化し、他社との差別化にもつながります。

顧客や投資家からの信頼獲得

近年は、環境・社会・ガバナンスを重視する「ESG投資」に注目が集まっています。SDGsに沿った経営を行う企業は社会的評価が高まり、投資対象としても魅力を持つようになります。

 

また、消費者の購買基準も変化しており、「環境や社会に配慮しているか」が選択のポイントになるケースが増えています。

新たなビジネスチャンスや市場開拓につながる

環境負荷を抑えた製品やフェアトレード商品など、SDGsを意識した新しい商品・サービスは、新市場の開拓につながります。自治体や大手企業との共同プロジェクトに参画できる可能性もあり、ビジネスの幅を広げるチャンスとなります。

 

こうした取り組みが、結果的に売上拡大や企業成長を後押しするのです。

社員のモチベーション向上と人材定着

自分の仕事が社会や環境に貢献していると感じられると、社員の仕事へのやりがいは大きくなります。これにより離職率が下がり、採用活動においても企業の魅力が増します。

 

特に若い世代は「社会的意義のある仕事」に価値を感じやすく、採用競争力の強化にもつながります。

コスト削減や業務効率化の促進

省エネルギー化や廃棄物削減は、地球環境だけでなく企業の経費節減にも直結します。たとえばLED照明の導入や物流の効率化など、小さな改善を積み重ねることで長期的なコスト削減が可能になります。

 

さらに、資源の無駄を減らすことは業務フローの見直しにもつながり、生産性の向上にも貢献します。

リスクマネジメント強化(規制・社会的批判への対応)

環境規制や労働基準の強化など、企業を取り巻くルールは年々厳しくなっています。SDGsを意識した経営を行っていれば、こうした変化にも柔軟に対応でき、社会的批判を受けるリスクを軽減できます。

 

結果として、企業の持続的な成長基盤を守ることにつながるでしょう。

SDGsへの取り組みを始める方法

始める方法

SDGs(持続可能な開発目標)は、国や大企業だけでなく、中小企業や個人事業でも実践できる内容がたくさんあります。大切なのは、いきなり大規模なプロジェクトを始めるのではなく、自社の強みや事業に合わせて無理なく続けられる取り組みを選ぶことです。

 

ここでは、SDGsをスタートさせるための4つの方法をご紹介します。

自社の事業内容に合ったSDGs目標を選ぶ

SDGsには17の目標がありますが、すべてに取り組む必要はありません。まずは自社の商品やサービスと関係の深い目標を選びましょう。

 

たとえば、食品メーカーなら「飢餓をゼロに」や「つくる責任 つかう責任」、IT企業なら「産業と技術革新の基盤をつくろう」などが該当します。事業との親和性が高いほど、実践しやすく効果も出やすくなります。

環境に配慮した製品・サービスを導入する

環境負荷を減らす取り組みは、SDGsの中でもすぐに始めやすい分野です。たとえば、リサイクル素材を使った商品開発や、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの利用などがあります。

 

小さな一歩でも、継続することで社会的評価が高まり、顧客や取引先からの信頼にもつながります。

SDGsに取り組む企業に連携を依頼する

自社だけで取り組むのが難しい場合は、すでにSDGsに力を入れている企業と協力する方法もあります。共同プロジェクトや資源のリサイクル、環境活動のパートナーシップなど、協業によって取り組みの幅が広がります。

 

信頼できる企業と連携すれば、自社の負担を抑えつつ、より大きな成果を生み出せます。

成果を社内外に発信しブランド価値を高める

せっかくの取り組みも、社内や消費者に知られなければ効果は半減してしまいます。社内報やSNS、プレスリリースなどを活用して、SDGsへの取り組み内容や成果を発信しましょう。

 

透明性を持って発信することで、社員のモチベーション向上や顧客からの評価アップにもつながります。

SDGsの取り組みは小さな一歩から

Shoichiサスティナブル概要

回紹介したように、各企業はリサイクルや再利用、再生可能エネルギーの活用など、工夫を凝らした“面白い取り組み”を進めています。大切なのは、無理のない範囲から小さく始めて、少しずつ広げていくことです。

 

身近な成功例を参考にしながら、自社や日常に合ったSDGsのアクションを見つけてみてください。

 

ファッション業界のSDGsへの取り組みは、Shoichiがサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください!

 

お問い合わせはこちら:https://shoichi.co.jp/sustainable/