大量生産・大量廃棄が問題視されるなか、ファッション業界でも「服を再生する」取り組みが注目されています。着なくなった衣類をただ捨てるのではなく、リサイクルやリメイクによって新しい価値を生み出すことが、持続可能な未来への第一歩となります。

 

この記事では、服の再生とは何か、その方法や事例についてわかりやすく紹介します。

服を「再生」するとは?

服を「再生」すると聞くと、古着をそのまま次の人に譲るイメージが浮かびますが、実際にはもっと幅広い循環のかたちがあります。着古したシャツや破れたジーンズは、繊維を細かくほぐして工場用ウエス(機械の油拭きなどに使う雑巾)として再出発したり、綿状にしてマットレスやソファの詰め物、断熱材、吸音材などにも生まれ変わります。

 

ポリエステル主体の衣類はケミカルリサイクルで再び糸へ戻される一方、コットンやウール混紡品はフェルト化して自動車の内装や建材の緩衝材に転用されるなど、「服→服」だけにとどまらない多層的なアップサイクルが進んでいます。

 

こうした再生プロセスでは、素材ごとに最適な処理が選ばれ、色や金属付属品を除去した上で新たな製品の原料へと変換されるため、廃棄物は限りなくゼロに近づきます。

服の再生に注目が集まる3つの背景

服の再生が世界的な潮流になりつつあるのは、単なるブームではありません。鍵となるのは「環境負荷の削減」「規制と政策の後押し」「資源価格と社会コストの抑制」という 3 つの大きな動きです。

 

以下でその内容を順に見ていきましょう。

環境負荷を劇的に下げる循環の力

衣類を新しく生産する際には、原料採掘・紡績・染色・縫製の各工程で大量のエネルギーと水が使われ、温室効果ガスや排水も発生します。再生ポリエステルはバージンポリエステルと比べて最大50%のCO₂排出削減効果があると報告されており、コットンをウエスや詰め物にアップサイクルする場合でも、焼却によるCO₂や有害ガスの排出を抑えられます。

 

加えて、化石燃料・農薬・染料の使用量も大幅に削減できるため、気候変動対策だけでなく水資源や生態系保護にも直結します。限りある地球資源を循環的に利用する仕組みこそが、サステナブルファッションの核心であり、服を再生へ導く最大の原動力と言えるでしょう。

国内外で加速する法規制と目標設定

EUでは2025年に繊維の分別回収義務が始まり、2030年には再生繊維含有率を高める「エコデザイン規則」改正案が予定されています。加えて、各国の拡大生産者責任(EPR)制度が拡充されつつあり、製造企業には回収・再資源化の実効性を証明する仕組みの構築が求められています。

 

日本でも環境省が「循環型ファッション普及啓発業務」を推進し、自治体ごとの衣類回収モデルやリサイクル補助金制度が拡大中です。法的義務や政策インセンティブが整備されることで、個人・企業の行動変容が加速し、再生インフラへの投資や技術開発が一気に進む環境が整いつつあります。

資源価格高騰と社会コストの削減

近年、原油価格の変動や綿花の不作による原材料高騰が繰り返し起きています。服を再生してウエス・マットレス中材・吸音材などへ活用すれば、一次資源への依存度を下げられ、資源価格の乱高下による社会全体のコストを緩和できます。

アパレル企業が抱える服の再生・リサイクルが進まない原因

サステナブルの必要性は理解していても、実際に社内プロジェクトを動かす段階で立ちはだかる壁は少なくありません。代表的なのが「費用面」「技術面」「ブランド保護」の3つ。

 

以下では、企業がつまずきやすいポイントを順に整理します。

服のリサイクル・再生にかかるコスト負担

リユースやアップサイクルは「捨てるよりエコだからお得」と思われがちですが、実務レベルでは物流費・保管費・分別費・加工費など複数のコストが積み重なります。

 

特に混紡素材や装飾品が付いた衣類は、ボタン・ファスナー・金属パーツの取り外しや素材ごとの分け直しに手間がかかり、機械化が難しい部分も多いため人件費が跳ね上がり、着手できないアパレル企業も多いでしょう。

 

さらに、リサイクル工程に必要な機械や溶剤、エネルギーを自社でまかなえない場合、外部業者への委託費が加算され、想定以上に処理単価が高くなるケースも少なくありません。

複合素材と付属の壁

表地・裏地・縫い糸・芯地・ファスナー・金属パーツなど異素材が縫い合わさり、機械的な粉砕・再紡績では品質が不均一になりやすいのが現実です。

 

分解・分別の工程を省力化できなければ再生コストは新品を上回り、市場に戻せません。「どんな服でもワンステップで再生」は技術的にまだ遠く、素材設計段階からリサイクルしやすい服づくりを進めるエコデザインが急務と言えます。

ブランド毀損のリスク

服のリサイクル・再生の過程で管理体制がゆるむと、意図しない販路に流出してしまうことがあります。

 

たとえば、本来はシーズン終了後に限定的なアウトレットでしか販売しないはずの商品が、ネットオークションや無許可のリサイクルショップに大量に出回ると、「高級」という希少性が薄れ、正規店で購入した顧客の満足感を損ねかねません。

 

ブランド毀損は一度起こると信用回復に長い時間がかかるため、再生・リサイクル工程でも流通経路のトレーサビリティを確保し、適切な認証や処理証明書を付ける慎重な対応が不可欠です。

Shoichiが実現する服の再生・リサイクル

Shoichiは、「リサイクルで日本の廃棄をゼロに。」を掲げ、衣類のリサイクル事業を展開している会社です。服の再生を目指すアパレル企業が抱える “ブランド保護” “コスト負担” “トレーサビリティ” という三大ハードルを同時にクリアできる以下の体制を構築しています。

 

  • ブランドタグを1点ずつ手作業でカットし、二次流通を完全に防止
  • 守秘義務契約の徹底と、社内セキュリティ管理の強化
  • 広大な自社倉庫と、年間600トン規模の処理能力
  • リサイクル証明書の発行により、透明性のある処理プロセスを保証
  • リサイクル可能な在庫を原料として買い取るため、廃棄コストの削減も実現

 

「服の再生に取り組みたいが、どう始めていいかわからない」「ブランド価値を守りながら、在庫を処分したい」
そんなお悩みをお持ちのアパレル企業様は、ぜひShoichiにご相談ください。初めての方にもわかりやすく、安心してお任せいただける体制でお応えいたします。

 

Shoichiリサイクル事業の詳細はこちら

Shoichiにおける服のリサイクル方法と流れ

Shoichiでは、アパレル製品のリサイクルを安心してお任せいただけるよう、以下のプロセスに基づき丁寧に作業を進めています。

1. 衣類の引き取り

まずは事前にお客様とお打ち合わせを行い、リサイクル対象となる商品やその物量について詳しくヒアリングします。その後、Shoichiがトラックと必要な人員を手配し、商品を回収いたします。

 

回収に使用するトラックには、環境に配慮した「エコトラック」を採用。低公害車(天然ガス車やハイブリッド車)を使用することで、環境への負荷を軽減する取り組みも行っています。

 

回収した商品は、ブランドごとにエリアを分けて厳密に管理し、混在や取り違えが起こらないよう徹底しています。

2. 解体作業の実施

回収した衣類は、自社工場にてシャツ、パンツ、アウターなど種類ごとに仕分けし、解体作業を行います。この際、商品の「タグ」(ブランドタグ・洗濯表示タグなど)は1点ずつ手作業で確実に切り取ります。

 

タグの完全な除去を行うことで、商品が二次流通に流れる心配を完全に排除し、ブランド価値を守るリサイクルが可能です。

 

さらに、守秘義務に関する契約書の締結や、スタッフへの情報セキュリティ教育も万全です。例えば、メーカー名やブランド名は暗号化されたコードで管理し、特定の権限を持つスタッフ以外が情報にアクセスできない仕組みを構築しています。

3. 加工業者でのリサイクル処理

解体と仕分けが完了した衣類は、種類別に協力会社へと送られ、繊維リサイクルが行われます。この時点でも、Shoichiが管理の手を緩めることはありません。すべての商品タグは事前に取り除かれており、二次流通のリスクが一切ない状態で協力会社へ引き渡します。

 

協力会社では、再生ウールやフェルト製品など、新たな素材として生まれ変わるための加工が行われます。

4. リサイクル結果のご報告

リサイクルの全工程が完了した後は、ブランドやメーカー様にリサイクル結果をご報告いたします。処理された衣類がどのように資源化されたのかを明確にするため、「リサイクル証明書」を発行。この証明書により、解体や資源化の詳細が確認できるだけでなく、透明性のあるリサイクルを実現します。

 

「ブランド価値を守りながら在庫を資源に変えたい」「循環型ファッションに取り組みたいけれど何から始めればよいかわからない」という企業様は、ぜひShoichiまでご相談ください。